行政書士池田玲菜の見た世界

 アンパサンド行政書士事務所の池田玲菜代表が、行政書士の視点から連載するコラム。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第1木曜日に掲載しています)

行政書士池田玲菜の見た世界(6)経営における判断の遅さ

2021年04月01日 12時00分

第三者、専門家に相談を

 日本での歴代興行収入ランキングで1位となった「鬼滅の刃」。映画にはありませんが、原作である漫画にもアニメ化された作品にも出てくるセリフに「判断が遅い」というものがあります。主人公の竈門炭治郎は、師匠である鱗滝左近次に「判断が遅い」と言われます。炭治郎がなぜ「判断が遅い」と言われるのかは作品に譲ります。該当シーンは序盤にありますので、ご興味がございましたらぜひご覧ください。今回は、経営における「判断の遅さ」について考えます。

 企業を経営する上で判断を速くすることは重要です。判断の遅さにより、商機を逃し、人材を逃すように、さまざまな好機を逃してしまいます。場合によっては信用も逃します。後回しにしてもよいと思っていた判断事項が、重大な経営判断上のミスにつながることもありえます。

 では、なぜ人は判断が遅くなってしまうのでしょうか。それには2つのケースがあると思っています。

 1つ目は、情報が不足している場合です。判断をするためには情報が必要ですが、それが不足しているために判断できないと感じることがあるでしょう。必要な情報を十分に集めて判断したくなるものです。

 情報が不足していると感じた場合はどうしましょう。その場合は、師匠に「判断が遅い」とどやされる前に適切な第三者、特に専門家に相談することをお勧めいたします。適切な専門家は判断に必要な情報を持っています。ぜひ、第三者に相談することを厭(いと)わず、相談できる専門家を身近に置いて、必要な情報を入手してください。

 2つ目は、避けられないリスクがある場合です。リスクを取る覚悟を決められないこともあるでしょう。リスクは避けたくなるものです。

 その場合に必要なのが、リスクマネジメントの考え方です。リスクが顕在化する確率と、顕在化した際の自社や関係者が受ける影響の大きさを掛け合わせて、リスクの重大さを評価するものです。リスクが顕在化した場合にどのような課題が生じるのかを想定し、その課題について低減、許容または移転することができないかを判断します。

 地震が発生し、物が散乱することを防ぐために家具を固定することはリスクの低減ですし、建物の損壊に備えて地震保険に加入することはリスクの移転です。一つの地震というインシデントに対して、打てる手段は多方面にわたります。

 怖がっていては前に進めませんが、考えなく突き進むことは芸がないことです。数多くある判断事項に対し、自分一人で判断をしなければならないと気負うのではなく、そして分からない者同士で頭を寄せ合うのではなく、適切な第三者に相談をし、迅速な判断を下し、師匠から「判断が速い」と認めてもらえるといいですよね。

(北海道建設新聞2021年4月1日付3面より)


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