道営ホッカイドウ競馬門別競馬場の再整備に向け、北海道軽種馬振興公社が2021年度から基本設計などに着手するが、地元・日高町でも競馬ファン増加や地元産品の知名度向上に効果が期待できると歓迎している。完了後を見据え、場内での門別ししゃもまつり開催や、ホッカイドウ競馬所属の騎手、馬とタイアップしたグッズ製作を視野に入れるなど、競馬場を観光振興、地域活性化に生かしたい考えだ。
日高町富川駒丘76の1にある門別競馬場の再整備は、現在一体となっている厩舎(きゅうしゃ)と厩務員住宅の分離が中心。これにより、観客スタンド後方に15万㎡ほどの土地が空くため事務施設などを集約するほか、観客に解放するスペースとして整備する可能性もある。
日高町は、19年に初めて門別競馬場で門別ししゃもまつりを開催。来場者は、それまでの1万人から1・5―2倍ほど増加した。同町商工観光課の島尻守主幹は「知名度が高い場所だったことが影響した」と効果を実感したものの、設営に時間がかかる、馬への配慮から大きな音を出せないなどの課題も見つかった。
再整備が終われば、厩舎は現在より西側にずれるため、本馬場でのイベント開催に対する制約は小さくなる。さらに、これまで以上に広いスペースを確保できる可能性もあるため、19年より多くの集客が期待できる。
また、昨年は町内生産の名馬を印刷したヒダカホースカードを配布し、大きな反響を得た。近隣町からノウハウを聞きに来たり、調教施設を擁する滋賀県の栗東市も独自の形態で実施したりなど、その影響は他地域にも波及している。
このほか、町内の長谷川牧場生産のデアリングタクトが史上初の無敗牝馬三冠を達成するなど、日高町をはじめとした馬産地ひだかの知名度が向上している。
こうした機運の高まりを捉える一方、島尻主幹は「馬をオープンにしすぎると、人が傷つけることもある」と危険性も指摘しており、「一定の距離を保って観察できる競馬場は安全」と新施設を心待ちにする。
事業期間は25年度まで。22―23年度で厩舎と住居を移転し、25年度には事務所やパドックの集約、再整備を進める。総事業費には、現在積み上げている改修基金32億円に加え、今後の競馬事業の収益を充てる見通しだ。(苫小牧)
(北海道建設新聞2021年4月6日付13面より)