おとなの養生訓

おとなの養生訓 第205回「ドライアイ」 まばたき意識して防止

2021年04月12日 09時00分

 さまざまな仕事で、パソコン、タブレット、スマホなど、ディスプレーの画面を見ていることが非常に多くなりました。こうした画面には、写真や動画だけでなく、大小の文字がたくさん映し出されていて、それを読むことがほとんどです。このように一つのものを見続ける場合、目を凝らして注視することになります。そして、人は注視をしているときには、まばたきの回数が極端に下がることが分かっています。このまばたきをしない状態が続くと、目を覆って保護をしている涙が乾いてしまい、目にトラブルが起こるようになります。これをドライアイといいます。

 まばたきは、目の表面に涙を塗り付けて、目を保護し乾燥を防ぐ反応です。人は、平均して1分間に20回まばたきをします。こうして、目を潤しているのですが、注視をすると、この回数が極端に少なくなり、1分間に数回ということにもなります。まばたきをしない間に涙が蒸発し、量が少なくなってくると、目の表面の細胞が壊れやすくなり、傷ついてしまうという訳です。

 ドライアイの症状は、乾燥感だけでなく、目の疲れやかすみが起こります。さらに、目が赤く充血し、逆に乾燥を防ごうとして、大量の涙が出ることもあります。そして、痛みが出て、異物感で目がゴロゴロするようになると、確実に炎症となって、視力の低下や感染症の合併も起こります。ドライアイを放置することは危険なのです。

 ドライアイの原因として、まばたきの減少のほかに、コンタクトレンズの使用、空調による室内の乾燥も重要になります。現在、コロナ禍で室内換気を徹底しているので、室内の乾燥度も高くなっているからです。

 また、仕事でなくてもテレビの視聴にも気を付けましょう。今のデジタルテレビは解像度が高く、画面が鮮明で、番組の画面上にたくさんの文字が次々と出てくるため、団らんでテレビを見ていても、テレビ画面を注視しがちなのです。

 ドライアイを防ぐには、まばたきを意識することです。ディスプレーを見るときは、目を近づけて注視しない、時々ディスプレーから目を離して休める、長時間の連続使用を避ける、などに心掛けましょう。オフィス内の乾燥を防ぐため、加湿器を使用することも有効です。目に潤いを与える目薬を使用することもいいでしょう。もし、目が不調になったら、眼科受診をお勧めします。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)

(北海道建設新聞2021年4月9日付3面より)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • オノデラ
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,375)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,288)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,279)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,075)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (989)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。