さまざまな仕事で、パソコン、タブレット、スマホなど、ディスプレーの画面を見ていることが非常に多くなりました。こうした画面には、写真や動画だけでなく、大小の文字がたくさん映し出されていて、それを読むことがほとんどです。このように一つのものを見続ける場合、目を凝らして注視することになります。そして、人は注視をしているときには、まばたきの回数が極端に下がることが分かっています。このまばたきをしない状態が続くと、目を覆って保護をしている涙が乾いてしまい、目にトラブルが起こるようになります。これをドライアイといいます。
まばたきは、目の表面に涙を塗り付けて、目を保護し乾燥を防ぐ反応です。人は、平均して1分間に20回まばたきをします。こうして、目を潤しているのですが、注視をすると、この回数が極端に少なくなり、1分間に数回ということにもなります。まばたきをしない間に涙が蒸発し、量が少なくなってくると、目の表面の細胞が壊れやすくなり、傷ついてしまうという訳です。
ドライアイの症状は、乾燥感だけでなく、目の疲れやかすみが起こります。さらに、目が赤く充血し、逆に乾燥を防ごうとして、大量の涙が出ることもあります。そして、痛みが出て、異物感で目がゴロゴロするようになると、確実に炎症となって、視力の低下や感染症の合併も起こります。ドライアイを放置することは危険なのです。
ドライアイの原因として、まばたきの減少のほかに、コンタクトレンズの使用、空調による室内の乾燥も重要になります。現在、コロナ禍で室内換気を徹底しているので、室内の乾燥度も高くなっているからです。
また、仕事でなくてもテレビの視聴にも気を付けましょう。今のデジタルテレビは解像度が高く、画面が鮮明で、番組の画面上にたくさんの文字が次々と出てくるため、団らんでテレビを見ていても、テレビ画面を注視しがちなのです。
ドライアイを防ぐには、まばたきを意識することです。ディスプレーを見るときは、目を近づけて注視しない、時々ディスプレーから目を離して休める、長時間の連続使用を避ける、などに心掛けましょう。オフィス内の乾燥を防ぐため、加湿器を使用することも有効です。目に潤いを与える目薬を使用することもいいでしょう。もし、目が不調になったら、眼科受診をお勧めします。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)
(北海道建設新聞2021年4月9日付3面より)