地元企業同士の連携を支援

中泉澄男会頭
やはり飲食業界は大きな打撃を受けた。もともと多くはない観光や宿泊業も落ち込み、どの業種も大なり小なり影響が出ている。それでも徐々に接客時の対応など対策が進み、若い世代を中心にテレワークも浸透してきている。ただ、人と会う機会が失われ、情報交換の場も減っているため企業の実態把握は難しい。
―どんな支援に取り組んだのか。
経営相談窓口の強化や、小規模事業者持続化補助金の申請手続き支援などに取り組んだ。各種補助金は助かる半面、補助金だけあっても事業者の心が折れてしまってはどうにもならない。地域経済を回復する特効薬は、なかなか見つからない。会議所自体が資金を持っているわけではないので、各種情報を提供する形で支援したい。
―企業誘致や移住施策では成果が出ているが。
市内を見ると、工業団地は埋まり、住宅については土地不足という課題はあるが道央圏に位置していて場所的には魅力的だ。職種を選ばなければ雇用もあるため、派手さはないがバランスの取れたまちではないか。道内でも札幌に近く、移住者もいて田園住宅も埋まっている。行政が取り組む移住施策を継続してほしい。
―市内経済の見通しは。
建設業でも影響の度合いは異なり、住宅関連は営業活動で規制を受けるなど苦労している。公共工事の恩恵を受ける企業と受けない企業に分かれるが、自治体発注の工事は今後も必要だと考える。また、恵庭には自衛隊があり建築系では住宅防音の工事が長年続いていて、全てを地元の企業が受注している訳ではないが一定の効果がある。自衛隊については家族単位で人の動きがあり、飲食や買い物といった波及効果も見られ影響は大きい。
道内他市町村と比べ、恵庭はまだ民間企業が多く残っている地域。感染症の流行で落ち込んだ経済の回復に「これだ」というものはなかなか見えず、道のりは長いが情報交換しながら地元企業同士で手が組める形があれば良い。そこを支援していきたい。
中泉澄男(なかいずみ・すみお)1952年2月4日生まれ。郷土建設(恵庭)会長。2013年11月1日から恵庭商工会議所会頭を務める。
(北海道建設新聞2021年4月12日付10面より)