活性化へ航空需要回復期待
―市内経済の状況は。
新型コロナウイルス感染症流行前はインバウンドが増加し、市内にもホテルが多く建設されたが、国際線・国内線ともに新千歳空港の航空需要が激減し、飲食や宿泊、空港のテナントと大きくダメージを受けた。巣ごもり需要で食料品を買い求める人は減っていないため、そういった業種は極端に減ったと聞いていない。宿泊業の多い支笏湖もGoToトラベルなどの期間中は満室だったが、ストップした途端に落ち込んだ。
―厳しい状況の中、どのような事業に取り組んだのか。
千歳市に経済維持や経済の回復に関する要望をしたほか、経営や融資に関する相談業務に対応できるよう人員を2人増やした。日常的に取り組む会員勧誘が実を結び、会員数は増加した。
昨年は夏のイベントが中止になり、にぎわいが減ってしまった。ことしは、どうやって開催するかをテーマに検討しなければならない。ワクチン接種や東京五輪・パラリンピックの動向を見て参考にしながら、なんとかして実施できないかを考えたい。
―新千歳空港も旅客数が減少し苦戦が続く。
市は10万人都市を目指し居住可能な土地を用意しているが、住宅やアパートの増加は空港関連の活性化があってこそ。コロナで空港は停滞し、空港利用者がいないことには物や人が動かず、お金も動かない。
航空需要の回復を望む一方、観光が主体の北海道でも、コロナ禍でバスの運転手やホテルのベッドメイキングをする人など減ったため、いっぺんに回復したら需要に対応できるのかという心配がある。北海道エアポートの需要見込みと各事業者が歩調を合わせることが必要だ。
―地域経済回復への見通しは。
「信頼され、行動する商工会議所」というスローガンを掲げる。感染症流行で影響を受けているかどうかは企業によって二極化しているが、危機感を覚えている企業は多いはず。われわれが直接事業に取り組むというのは難しいものの、相談窓口を確立し、SNSなども使って的確な情報を提供する役割を果たしたい。(おわり)
入口博美(いりぐち・ひろみ)1951年8月15日生まれ。三友石油(千歳)社長。2019年11月1日から千歳商工会議所会頭を務める。
(北海道建設新聞2021年4月14日付12面より)