日本初のコンクリート製、小樽港北防波堤を設計 近代土木の父
高知県の建設関連団体などで構成する「廣井勇を顕彰する会」は、廣井博士の生誕地である高知県佐川町に銅像を建立した。17日には佐川町との共催で除幕式を開催。日本初のコンクリート製防波堤となった小樽港北防波堤を設計、東京帝国大学などの教授として優秀な土木技術者を数多く輩出し日本の近代化に貢献した功績と人となりを後世に伝える。
同会は、佐川町や高知県建設業協会、高知工科大などが参画し2018年5月に設立。18、19年度には小樽港北防波堤などの道内視察を実施している。北防波堤は1908(明治41)年の完成からことしで113年目を迎え、現在も現役で活躍中。北海道遺産にも登録されている。

廣井博士が生誕した佐川町に建立した銅像
廣井博士は偉大な功績を残すが、同郷の牧野富太郎や札幌農学校の同期生である内村鑑三、新渡戸稲造と比べると広くは知られていない。そのことから生誕地での銅像建立は発足以来の目標だった。
建立に向け19年7月から20年6月の1年間、募金活動を展開。その結果、個人878人、企業・団体159社から寄付があり金額は1509万300円にも上った。
銅像は佐川町上町地区にある佐川文庫庫舎の敷地内に建てられ、「近代土木の礎を築いた清きエンジニア」と刻字されている。北防波堤が完成した際には私財を投げ打って祝宴に招待されなかった現場作業者を慰労したエピソードに代表される人格者としての魅力を「清き」という言葉に込めた。廣井博士の生き様を通して若者が建設産業の担い手として成長することを願っている。
(北海道建設新聞2021年4月15日付1面より)