再開発 災害にも強い街へ
大学や高層マンション、病院の新築など大規模再開発による再生を目指す新さっぽろ。事業が完了する2023年度には、さらなる街の発展が期待される。サンピアザやデュオといったショッピングセンターを運営する札幌副都心開発公社(本社・札幌)の中塚宏隆社長に再開発効果や今後の展望などを聞いた。
―4月に大学と専門学校が開校したが街に変化は。
若い学生が歩いているのをよく見掛けるようになった。高齢者を含め多様な人が往来するのは活気につながる。新型コロナウイルスが収束すると、さらに人が集まるのではないか。
―JR新札幌駅北東側に位置するI街区でも建設ラッシュが続く。
春から大型立体駐車場の竣工に伴い、現東駐車場が解体され、そこにホテルや商業施設が建設されるなど、病院やマンションに続いて開発はまだまだ進む。さらに、エネルギーセンターも整備されて、停電が発生しても街区内の各施設へ電気を供給できるようになり、災害にも強い街になる。ここ2、3年で新さっぽろ周辺は見違えるように変貌するだろう。
―再開発を機に経営上の変化は出ているのか。
新駐車場の完成に伴い、弊社の各駐車場に自動精算機を導入した。中でもデュオやA街区駐車場(北駐車場)は24時間稼働する。これまで運営は弊社の子会社が担ったが、大和リースに委託することになった。無人化により経営の効率化にもつながると考えている。
―コロナ禍によるショッピングセンターへの影響は。
飲食店を中心に影響は出ている。感染拡大後は営業時間短縮や休業対応をし、厳しいテナントには個別相談に応じたりしてきた。退去もあったがその分、入居したテナントもあったため、コロナ前とほぼ同数の約200店を維持している。
最近では、JR札幌駅のパセオや大通の4丁目プラザなどの再開発により閉店するケースが増えていて、こうしたテナントからの問い合わせが多い。新さっぽろはこれからも開発は続くし、札幌中心部より賃料は安いため受け皿になれればいい。
―再開発に伴いエリアマネジメントにも力を入れている。
ハード整備だけでは街としての魅力向上は十分ではない。ソフト面でエリア内の各施設が連携し、まちづくりのコンセプトを持続発展させるための取り組みが必要になる。G・I街区事業者や関連企業などで構成する新たな組織を立ち上げるための準備を進めている。地域の施設や公園を活用してさまざまなイベントを展開する予定だ。
―JR新札幌駅北側にある駐車場(A街区)の活用については。
将来を考えるとJR札幌駅前では大規模再開発があり、北広島市内でもボールパーク建設や駅西口再開発がある。当初はA街区で商業系やオフィス系というイメージがあったが、コロナ禍の影響もあり慎重にならざるを得ない状況にある。ただ、商業施設を運営しているだけに、既存店舗と競合しないような業態を幅広く考えたい。
(聞き手・武山 勝宣)
中塚宏隆(なかつか・ひろたか)1960年1月生まれ、蘭越町出身。札幌市建設局総務部長や消防局総務部長、危機管理対策室長、人事委員会事務局長を歴任し、2020年6月から現職。
(北海道建設新聞2021年4月16日付2面より)