里塚復旧など3件が受賞 土木学会道支部20年度の技術賞

2021年04月29日 10時00分

 土木学会北海道支部(島村昭志支部長)は16日、2020年度技術賞を発表した。受賞したのは「胆振東部地震により被災した札幌市清田区里塚地区における市街地復旧事業」「千歳川遊水地群」「羽幌港における離島フェリー動揺対策」の3件。5月14日午後3時から札幌ガーデンパレスで開く総会で表彰する予定だ。

 この技術賞は、1977年に創設。最先端の土木技術や革新的工法を導入した現場を顕彰している。

■胆振東部地震により被災した札幌市清田区里塚地区における市街地復旧事業
(札幌市建設局市街地復旧推進室)

 胆振東部地震で被災した札幌市清田区里塚地区では、100を超える家屋・宅地被害が発生。住民の約半数が避難生活を強いられ地域コミュニティーの維持・存続が危ぶまれる状況だった。市街地復旧推進室は「ハードとしてのまちを復旧するのではなく、人の暮らし(地域コミュニティー)を再生する」を組織目標に掲げた。徹底的にスピードにこだわり、①発災から3カ月で対策工の合意形成②確実なコミュニティーの再生を実現する工法選定③住宅再建を支援する「先手」の情報発信と被災者へのきめ細やかなフォローアップ―を柱とする各種取り組みを進めてきた。

 発災から2年半を経過した現時点で被災住民の約9割は現地での再建を希望し、そのうちのほとんどは住宅再建を終え、元の平穏な生活を取り戻している。

 過去の震災の教訓を生かし一貫して速さにこだわった工法選定などの技術的な検討のほか、産官学の連携や地域・企業・行政の三位一体の取り組みなど、今後の災害復旧における優れた先例として称賛した。

■千歳川遊水地群(札幌開建)

 石狩川の背水の影響を長時間受ける千歳川では、洪水時の水位上昇を抑えるため、洪水調節容量約5000万m³の6つの遊水地群を08年度から流域の4市2町の千歳川本支川に分散し整備を開始。20年4月に全ての遊水地で供用を開始した。

 千歳川流域固有の泥炭性の軟弱地盤上に高さ約6mにも及ぶ周囲堤を建設するに当たっては、荷重載荷のない素地盤に築造するため、最大沈下量は3・5m程度と推定された。その変状への対策とともに、築造に必要な膨大な盛り土材料として遊水地内で発生した掘削土を活用するため、①泥炭性軟弱地盤における真空圧密ドレーン工法の採用②周囲堤盛り土に用いる高含水比粘性土の改良工法―の技術を導入し周囲堤を完成させた。

 千歳川遊水地群の整備によって流域の安全安心を確保されるとともに、泥炭性軟弱地盤箇所での堤防整備に際して先駆的に取り組んだ手法を高く評価した。

■羽幌港における離島フェリー動揺対策
(留萌開建、三協建設、白鳥建設工業、クマシロシステム設計、日本データーサービス、北日本港湾コンサルタント)

 羽幌港は、天売・焼尻島への離島航路の玄関口として地域住民や観光客に利用され、生活・産業・観光を支える地域生活基盤として重要な役割を果たしている。

 13年4月には新たなフェリーターミナルが供用。フェリー岸壁は、波浪推算に基づいた波向別波高出現頻度を用いて年間稼働率97.5%を満足するように技術基準に適合した港形で整備が進められた。しかし近年、冬季には当海域で発達する低気圧の勢力が従来より強まり、高潮や波浪によってフェリー船体の動揺が生じ安全係留ができず、港奥への避難を強いられていた。

 このため原因究明の現地調査やフェリー避難の要因分析、近年の波浪推算での港形評価見直しを実施。フェリーの通年利用を満足する対策工を港湾関係者会議で決め課題を解決した。

 近年、全国的に高波被害が頻発化するとともに、気候変動に起因する波浪の変化の影響が懸念されている。羽幌港で検討した一連のプロセスは今後の事業に対して模範となるとした。

(北海道建設新聞2021年4月19日付4面より)


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