導入決まれば道内離島で初
利尻町と奥尻町は、環境省から受託した2020年度浮体式洋上風力発電による地域の脱炭素化ビジネス促進事業に基づき、洋上風力発電の導入可否を含めた調査・検討を開始する。調査期間は20―23年度の4カ年で、地元関係者らで構成する検討会も発足させる。導入が決まれば道内離島では初めての事例となる。
両町ともに、ドーコンと一般社団法人オフショアウィンドファーム事業推進協会が共同事業者となる。
利尻町では先進地である長崎県の五島列島での施工事例を基に寒冷地においても技術的に導入が可能か検討するほか、気象条件や生態系への影響などについても調査。
5月初旬をめどに漁業関係者や観光、経済団体など約30人で構成する検討会を立ち上げ、年4回ほど会合を開き意見を求める。また、検討会とは別に町民向けの勉強会やセミナーなどを開催し、機運の醸成を図る。町は「離島のエネルギーの在り方について議論を深めたい」と話す。
奥尻町では現在、A重油を用いるディーゼルエンジン式の奥尻発電所などで島内の電力を賄っている。そうした中、島の豊かな自然環境の保護や、地球温暖化対策のため、脱炭素化社会に対応したエネルギー施策の必要性が高まっている。
災害時でも安定的に電力を確保できるようにするためにも、浮体式洋上風力発電の導入を模索することとし、今月下旬にも、ドーコンなどによる地盤調査が始まる見通しだ。
これと並行して、ひやま漁業協同組合や奥尻商工会など地元経済界をメンバーとする奥尻島沖洋上風力導入検討会議の設置も計画。5月に第1回の会合を開いて設立する。会合では構成員の顔合わせや、洋上風力発電に関する動向の情報共有などを予定している。
(北海道建設新聞2021年4月20日付1面より)