本来の機能を一部復活 市民に親しまれる施設に
函館市が2年半にわたって進めてきた重要文化財旧函館区公会堂の保存修理がこのほど完了し、26日にオープンする。市は22日、報道機関向けの内覧会を開き、施工上の工夫や新たな内部構成などを説明した。
同公会堂は1910(明治43)年の完成で、本館がW造、2階、付属棟がW造、平屋で総延べ床面積は1900m²。80年から82年にかけて大規模修理を施したが、それから30年以上がたち、木部を中心に老朽化が進行。2018年度から20年度にかけて耐震補強を含む保存修理を進めてきた。
建材は劣化などで使えない部分だけを新材に置き換え、なるべく当時の物を使うようにした。完成当時から残されている家具類も函館市内の職人が修理し、現代によみがえらせた。
2階の大広間は、これまで床を塩化ビニール樹脂で覆っていたが、完成当時にも採用していたリノリウム張りに変更。発見されたリノリウムの断片や写真を分析して模様も復元し、明治期の姿をイメージできるようにした。
施工は主体が高橋組・間建設・山七寺田建設・平谷折谷建設共同体。電気は梶原電気工業、機械は平和設備・昭和空調サービス共同体、防災設備は日東電気工事が担当した。難工事に臨む職人の仕事ぶりを上映する部屋を用意した。
26日午前10時からオープニングセレモニーを開いた後、一般公開する。函館市教育委員会では「初めての試みとして大広間や一部の部屋をコンサート、会議などで使える貸室を始める。公会堂本来の機能を一部よみがえらせ、市民に親しまれる施設にしたい」としている。(函館)
(北海道建設新聞2021年4月26日付15面より)