自然環境学べる観光拠点に
洞爺湖に浮かび、洞爺湖、壮瞥の両町にまたがる中島で、洞爺湖町が整備していた中島・湖の森博物館が4月28日、開業した。湖や中島の自然環境などを学ぶことができ、観光拠点として大きな役割が期待されている。
中島では町が保有する森林博物館が長年、観光客への情報発信施設としての役割を務めてきたが、1954年の完成で老朽化が進行。このため、隣接地の壮瞥町中島2418林班国有林内に新博物館を建設した。
新施設はW造、平屋、延べ410m²の規模。総事業費2億7863万円を投じた。施工は主体が須藤建設・加藤建設共同体、機械がゴウダ・斉藤設備工業共同体、電気が阿部電気工事。展示設置を丹青社、ICT関係をNECネッツエスアイが手掛け、設計は奥山建築設計が担当した。
博物館の名称は道内外から219点の応募があり、とうや小6年の和泉莉音さんの作品を選んだ。展示は3ゾーンに分け、「ジオパーク情報」「洞爺湖と中島の自然」「島内の散策情報」を順に知ることができる仕組みとなっている。
建物内には島内散策ルートへのゲートを設け、休憩や湖を眺めることができるテラス付きのカフェを併設した。
開館は4月下旬から10月末までだが、町と協定する酪農学園大が島内のエゾシカの生態調査に通年利用する予定だ。
関係者48人が参加してオープニングセレモニーを開催。真屋敏春町長は「洞爺湖の自然、歴史、文化、観光の教育に生かすとともに、中島の森の中にも足を運んでいただくための情報発信施設になれば」と期待した。
大西智町議会議長は「多くの町民や利用者から望まれていた施設。観光の礎の一つになってほしい」と願った。
続いて、展示コーナーの資料寄贈や施設整備の功労者に町が感謝状を贈呈。両町の町長や施設名を発案した和泉さんらがテープカットし、無事完成を祝った。
町の担当者は「中島を観光客に知ってもらえる施設になった。コロナ禍ではあるが、訪れた皆さんに楽しんでもらいたい」と話していた。(室蘭)
(北海道建設新聞2021年5月6日付11面より)