総額5%減の6447億円
北海道建設新聞社は2020年度のゼネコン道内受注高ランキングをまとめた。首位はニセコのコンドミニアムや札幌医大付属病院既存棟改修などの受注で541億6400万円に上った大成建設。調査の集計方法を暦年から年度に変更した07年度以降で見ると、官庁建築の受注が自己記録を更新した。民間建築は2番目に高い額だった。これに岩田地崎建設、伊藤組土建、宮坂建設工業と続き、上位4位までが300億円以上を確保した。上位50社の受注総額は前年度比5.1%減の6446億8480万5000円。設計・工事に約390億円を投じる札幌市の駒岡清掃工場更新を計上した官庁建築が過去最高額を記録。道内大手ゼネコンの受注を引き上げる要因となった。
20年度は19年度末から急速に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響が懸念されたが、上位50社の受注総額は過去10年間で5番目の多さになり、平均以上の水準を維持した。
官庁工事は防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策で17.4%増の2721億231万5000円を確保。一方、民間工事は16.7%減の3725億8249万円と落ち込んだ。
土木工事は2587億734万2000円で、1.7%の微増。うち官庁土木が2001億9384万4000円で7.9%増え、民間土木は585億1349万8000円で15.1%減った。
建築工事は9.1%減の3859億7746万3000円。官庁建築は719億847万1000円で55.3%増えたが、民間建築は17%減の3140億6899万2000円と対照的になった。
民間工事が前年度より1割以上伸び悩んだが、ある道外大手ゼネコンは「いくつかの工事で時期の見直しがあったものの、年度当初の予想よりは冷静に推移した。先を見据えた発注だと思うが、粛々と進めている印象」と振り返る。
別のゼネコンは、見直しが相次ぐ観光分野の代わりに、本来得意としている分野に注力。ただ「民間案件は競争相手が集中する傾向があり、厳しい状況」と指摘する。見直しとなった計画は、再度発注するまで手続きなどで時間がかかるため、2、3年はこの状況が続くと推測している。
上位10社を見ると、道内と道外企業が半々。岩田地崎建設と伊藤組土建、西松建設は07年度以降の過去最高額を更新した。
首位の大成建設は、第4四半期(1―3月)にニセコのコンドミニアム新築や札幌医大付属病院既存棟第3期改修、札幌駅前通のヒューリック札幌ビル改築、新千歳空港国際線のハイドラント拡張など272億円を上乗せした。
岩田地崎建設は529億2800万円を受注して2位。特別養護老人ホームの仮称・ラスール苗穂リバーサイド新築や北嶺中・高の学生寮・教室増築などを積み増した。
伊藤組土建は435億3900万円で3位につけた。札幌医大付属病院既存棟第3期改修を共同体サブで受注。札幌開建発注の河川工事を多数獲得した。
4位の宮坂建設工業は321億1300万円。札幌開建の452号芦別市鏡トンネルを共同体サブで受注したほか、勇払東部地区厚幌導水路の災害復旧を手掛けている。
5位は292億1600万円の西松建設。住友不動産の仮称・円山宮ケ丘計画新築やサンケイビルの小樽稲穂1丁目計画建設などを獲得し、民間建築で2位に躍り出た。
大林組は288億9600万円で6位。第4四半期は主に設計変更により民間建築で58億円、民間土木で53億円伸ばした。7位の中山組も設計変更が中心で、234億8600万円。官庁土木では16億円増やした。
戸田建設は202億6000万円で8位だった。伊達市北黄金地区でのウインドファーム建設が主な追加受注。9位は岩倉建設で194億4500万円。胆振東部消防組合の鵡川支署消防庁舎建設などを計上した。清水建設は188億3900万円で10位に入った。久原本家食品北海道工場新築を射止めた。
11位から20位までで自己記録を更新したのは砂子組のみ。前年度の51位以下から11―50位に入ったのは熊谷組、西江建設、世紀東急工業、斉藤建設、石塚建設興業の5社。熊谷組は前年度の3・4倍を記録し、96位から22位に上昇した。
分野ごとの上位5社は、官庁土木が①宮坂建設工業②岩田地崎建設③中山組④岩倉建設⑤伊藤組土建―と道内勢が占めた。民間土木は①鹿島②大林組③清水建設④日本道路⑤大成ロテック―で、スーパーゼネコンと舗装大手で二分した。
官庁建築は①大成建設②岩田地崎建設③伊藤組土建④岩倉建設⑤丸彦渡辺建設。2―5位は駒岡清掃工場更新の共同体構成員だ。民間建築は①大成建設②西松建設③岩田地崎建設④伊藤組土建⑤大林組―の順となった。
回答を寄せた273社の平均受注額は37億8409万円で、前年度を3.3%、約1億3000万円下回った。
(北海道建設新聞2021年5月10日付1面より)
北海道建設新聞2021年5月10日付1面には、1-50位の企業ごとの受注額や内訳をまとめた表を掲載しています。また、同日付8-9面には51位以下の企業の受注額と内訳を掲載しています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスをご覧ください。