都心再生

 1972年の冬季五輪に合わせて完成した札幌都心部のビルが更新期を迎えている。10年後の北海道新幹線札幌開業を見据え、行政は規制緩和で開発を促し、民間事業者はにぎわいを生む新たな施設を思い描く。進み始めた都心再生。札幌駅前、大通、ススキノ・中島公園の市内都心部各地区の再開発動向を追った。(3回連載します)

都心再生(中)大通地区 商業ビル転換期に

2021年05月12日 13時00分

ピヴォは複合施設へ、4プラ閉館で驚き

 ファッションや物販などの店舗が集積し、札幌駅前とは異なる発展を遂げてきた大通地区。商業ビルは老朽化の一途をたどり、札幌駅前通と同様に再開発計画を検討する事業者が増えている。従来の商業に加え、マンションやホテルを取り入れた複合施設の計画が浮上するなど、商業地図は転換期を迎える。

札幌駅前に続き大通地区も再開発計画が活発化してきた

 大手デベロッパーのダイビル(本社・大阪)は2019年度に商業施設ピヴォとペンタグラムビル、桂和MTビルを取得。同社として道内初の再開発に乗り出す。

 当時、ピヴォを所有していた中心街ビル(本社・札幌)は、耐震改修も検討したが、大規模な工事になるためテナントへの影響などを考慮して断念。建て替えるにしても費用が莫大(ばくだい)になることから、事業協力者となる有力なデベロッパーを探していた。ダイビルはオフィスを中心に展開していて、物販ビルを扱うのは珍しい。長年、ファッションビルを運営し、地下街の接続ノウハウを持つ中心街ビルと連携して再開発計画を固める構えだ。

 新施設は、日建設計グループのアドバイスを受けながら低層階に商業、中層階にオフィス、高層階にホテルが入居する複合ビルを検討。ダイビルの担当者は「最短で26年の竣工。31年の新幹札幌線延伸までには間に合わせたい」と意気込む。

 ピヴォとともに大通地区を代表するファッションビルも動きだした。4丁目プラザ(本社・札幌)は4月1日、22年1月の閉館を発表。約50年間若者たちに愛された老舗ビル終了の知らせは市民を驚かせた。

 同社の広川雄一社長は、閉店理由として未耐震を挙げるとともに「周辺商業ビルが再開発に動いていて、良いテナントを誘致するのは難しくなる」と説明。付近では同じファッションビルの「IKEUCHI GATE(イケウチゲート)」の建て替え計画も進んでいて、集客競争は厳しさを増すと不安をにじませた。

 隣接するピヴォと4プラだが、一体開発の予定は今のところない。過去に東京の大手デベロッパーが両ビルの再開発案を提示したが、実現には至らなかった。広川社長は「それぞれの事業があってタイミングが合わなかった」と明かす。今後、地権者らと再開発に向けた検討に着手するという。

道銀ビル、北陸銀も再開発計画

 大通公園に面する地区でも再開発計画が相次いでいる。平和不動産(本社・東京)は、北海道銀行本店が入る大通西4丁目の道銀ビルディングと、西側に隣接する新大通ビルディングの一体開発に乗り出す。20―23年度中期経営計画の再開発事業案件に盛り込んだ。平和不動産の担当者は「コロナ禍でスケジュールは流動的だが、なるべく早く着手したい」と話す。

 大通西2丁目に位置するほくほくフィナンシャルグループの北陸銀行も札幌支店建て替えに着手した。新たなビルには同支店のほか、店舗や共用スペースを設ける予定だ。同行の担当者は「北陸銀行としての道内のシンボルになれば」と期待し、道銀を含むグループ全体での活用を視野に施設配置などを協議している。11月の着工と24年1月末の完成を目指す。

 先行して容積率緩和などの地区計画を変更した札幌駅前通北街区と同様、大通地区も規制緩和を求める動きが出ている。冬季五輪に併せて建設されたビルが多いことから、市もその必要性に理解を示す。31年の北海道新幹線札幌開業に向け、商業地区として新たな進化を遂げる10年になりそうだ。

(北海道建設新聞2021年5月11日付14面より)


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