炭素系新素材で床暖房 大倉がシステム開発

2021年05月14日 15時00分

札幌にショールーム開設

 大倉(本社・大阪)は、炭素系新素材を活用した床暖房システム「HESTA(ヘスタ)グラフェン」を開発した。薄くしなやかな素材で熱伝導率が高く、温度むらを低減しながら消費電力が抑えられる特長がある。床暖房用のほか、熱量がパワフルな道路や屋根の融雪用も用意する。今春、札幌市中央区にショールームを開設した。工務店や資材販社などパートナー企業を広げたいと考えている。

 炭素原子の層でできたシート状の新素材「グラフェン」で温める。厚さは極薄の1mほどで、軽くしなやか。強さは鋼鉄の200倍で、ダイヤモンド並みの強度を持つ。電気の伝導率は銀より高く、熱伝導率は銅の10倍程度あるという。

シート状の新素材「グラフェン」で床や道路、屋根を温める

 炭素の練り込み量や電気抵抗を専用設計することで発熱温度を調整し、床暖房と道路融雪、屋根融雪の3製品を用意する。一般的な床暖房向けのフローリング材やロードヒーティングに対応したインターロッキングブロックなどの下に敷いて使用する。

 グラフェンを活用した床暖房システム「へスタ・ルームヒーター」は立ち上がりが早く、早朝や帰宅後などすぐに暖を採りたいときに重宝する。遠赤外線効果によって部屋の適正温度を保ち、一度温まった体が冷めにくいという特長もある。リビングやサンルームでの使用を勧めている。

 駐車場や玄関前などの道路融雪向けは「へスタ・ロードヒーター」。赤外線の放射で熱を伝え、熱効率が高いため短時間で融雪できるメリットを持つ。岩見沢などで2年前から実証試験を重ね、自動制御装置と組み合わせれば、既存の融雪設備と比べて40%程度のコスト削減効果が期待できることを確認した。

40%程度のコスト削減効果が期待できる

 屋根融雪では「へスタ・ルーフヒーター」を提案する。屋根にたまった雪を落とさず溶かすことで、雪下ろし中の転落など冬場の痛ましい事故を防ぐ。取り付けには、新築向けの埋め込み式と既存屋根に対応したマグネット式を用意。自動制御装置や降雪センサーを用いれば無人監視が可能となり、管理面での安全も保てる。

 いずれの商品も制御装置と併用すれば、スマホのアプリから電源のオン・オフなどを遠隔操作できる。省エネとスロー、ファストの3モードを備えているため、降雪状況や気温、時期に合わせて温め方を変えられ、消費電力を積極的に抑えることができる。将来的にはAIと連動し、より高度な道路や屋根融雪のシステムも検討している。

 札幌支店の山崎英男支店長は「工務店や販売店などパートナー企業を増やし、ヘスタをさまざまなところへ広げたい」と話している。

(北海道建設新聞2021年5月13日付3面より)


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