本間純子 いつもの暮らし便

 アリエルプラン・インテリア設計室の本間純子代表によるコラム。

 本間さんは札幌を拠点に活動するインテリアコーディネーターで、カラーユニバーサルデザインに造詣の深い人物。インテリアの域にとどまらず、建物の外装や街並みなど幅広く取り上げていただく予定です。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第2木曜日に掲載しています)

本間純子 いつもの暮らし便(8)ワンルームマンションで暮らすこと

2021年05月14日 10時00分

 独立した時、オフィスが必要になり、初めてワンルームマンションを借りました。早々に、ここがインテリアコーディネーター向きではないことに気付きましたが、不動産屋さんに説得され契約期間満了まで、その部屋とじっくり向き合うことになりました。

 ワンルームマンションは、子供部屋や書斎に近い個室のイメージがありますが、壁を取り払って機能をギュッと圧縮した小さな住宅です。間仕切り壁が無いので、キッチンも洗濯機スペースも脱衣室も、全て見渡せます。

 私が借りていたマンションにドアがついていたのは、部屋の入り口、トイレ、洗面付き浴室のみでした。住人の暮らしを想像しながら、家具レイアウトを試みましたが、どうもしっくり収まらず、ベストプランの完成を見ることなく、オフィスを移転しました。

 生活の維持管理には、調理、洗濯、掃除が不可欠です。ワンルームマンションはバックヤードがないため、道具類を含め、生活維持作業の痕跡が目に入ってきます。家具などで間仕切りができれば見なくて済みそうですが、狭苦しくなりがちで、これがなかなか難しい。

 プライベート空間ではありますが、友人や家族が時々訪ねてきます。訪問者には、生活感は個性として受け入れられても、生活臭は受け入れ難いもの。脱ぎっぱなしの衣類や洗わずにそのままになっている食器、積み上がった古雑誌は生活臭に属するので、家族だったら小言の一つも出てきそうです。

 家具レイアウトでは配置(家具の収まり)だけでなく、人がどのように動くか、椅子やベッドに腰掛けた時に何が見えるかをチェックします。家具は何とか収まっても、気になるのは古新聞や雑誌、空き缶やペットボトルなど生活臭が強い物たちです。

 部屋に生活臭を感じさせないためには、物品の避難場所が必要です。2畳程度の空間にポール1本、棚1段あれば、クローゼットや納戸、物置のように使えます。もちろん、資源回収日までの待機場所としても活用できます。

 「ワンルーム+2畳の収納」は、ちょっとぜいたくに思えますが、生活しやすい空間は長く借りたい住まいの条件の一つです。大家さん、ご一考ください。

 昨年から、在宅時間が増えた人は多いと思います。テレワークやオンライン授業が普通のことになり、これまで友人を呼ばないタイプの人も、自身の顔と同時にプライベート空間の一部が、ウェブ会議システムを通じて同僚や上司、クラスメートに公開されます。おしゃれなバーチャル背景は便利ですが、人の動きに対応しきれずリアルな背景がチラリと見えるのは、妙に気になります。

 部屋の中にいろいろな物が散在しすぎると、気持ちが休まりません。ほっとするスペースを作りましょう。片付け過ぎず、「ほどほど」が自然で長続きします。そこが自身の背景なら、落ち着いて会議や授業に臨めそうです。

 「見られてきれい」を意識し、オリジナルのリアル背景作りに挑戦してみませんか。

(北海道建設新聞2021年5月13日付3面より)


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