上川町のエイコの沢周辺で新地熱発電調査 JOGMEC

2021年05月17日 10時00分

年度内にもボーリング

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、上川町層雲峡にある大雪ダム近くの高原温泉エイコの沢周辺で地熱発電開発に向けたボーリング調査を計画している。2021年度は、有力候補地で調査に向けた敷地造成を進めるとともに、上半期(4―9月)に調査業務を発注する。国立公園の開発規制などで計画が頓挫した層雲峡白水沢地区に代わり、町悲願の地熱発電開発に向けて新たな可能性が浮上している。

 エイコの沢は層雲峡温泉から南に7㌔ほど、大雪ダムの大雪湖から南西に6㌔ほどにある渓流で、石狩川支流のヤンベタップ川に流れ込む。国道273号と接続する林道が沢に並走する。

 エイコの沢周辺の高原温泉地区は、旭岳をはじめとする火山が多く、温泉も湧出。過去に地熱開発の可能性について詳細に調査されたことはない。

 地熱発電の開発を手掛けるJOGMECは、15―16年に上川町内で、ポテンシャル調査の一環として、上空から候補地を抽出する空中物理探査を実行。有力地と見込まれるエイコの沢周辺をさらに調べるため、ボーリング調査を開始する。

 上川町は1957年から層雲峡温泉白水沢地区で初期調査を開始した。68年に本格的な調査が始まり、78年に道が上川地区地熱発電用地熱開発基本計画書をまとめ、4万㌔㍗の出力期待値を試算している。その後も継続的に調査を続けたが、町は96年に開発計画を凍結した。

 12年に国立公園内の開発規制が緩和されたことから凍結を解除し、協議会を設立。13年9月から丸紅が白水沢地区で再度、地表調査などを実施した。しかし適地と見込んでいた箇所は、開発に規制がかかる第一種特別地域に指定され、区域外から斜めに掘削する必要があり、着手が困難と判断。また適地へ向かう林道が崩壊したこともあって、丸紅も19年6月の定例会議で正式に撤退を表明していた。

 JOGMECは年度内にボーリング調査を終わらせる予定。9月までに調査業務を発注見通しで、5月には調査に向けた敷地造成を発注する。

(北海道建設新聞2021年5月14日付1面より)


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