コロナで建設市場収益悪化
大手ゼネコン4社の2021年3月期決算が出そろった。全社減収減益に終わり、鹿島が3期連続、大林組が2期連続の減益だった。連結売上高は鹿島が8期ぶりに首位に返り咲いた。営業利益は大成建設が2期連続で最多。最終的なもうけを示す純利益は2期ぶりに大林組がトップとなったが、各社とも1000億円を割り、新型コロナウイルス感染症拡大による建設市場の収益悪化を裏付けた。大成建設と清水建設は各利益が前期水準の70%台と低迷した。 4社の連結売上高総額は前期に比べ12.2%減の6兆6106億8300万円にとどまり、9227億3300万円下回った。連結営業利益総額は4811億2600万円(18%減)、連結純利益総額が3670億3200万円(16.1%減)とそれぞれ減った。公共投資は堅調に推移したものの、民間設備投資の計画中止や発注時期先送り、工事の中断・遅延が影響。感染防止対策に伴うコスト増、競争激化などが下押し要因となり利益を圧迫した。
単体を見ると、受注高と完工高は大林組、完成工事総利益と繰越高は大成建設が最も多かった。
受注高は4社合計で5兆3176億3600万円(0.6%減)と健闘したが、増えたのは鹿島だけ。好調な国内受注を背景に柱となる民間建築は大成建設と大林組、鹿島が増加した。官公庁土木は3社が伸ばしたが、鹿島が振るわなかった。大成建設は海外建築、大林組は官公庁建築と海外土木が足を引っ張った。清水建設は民間建築と海外で苦戦した。
完工高と完成工事総利益はいずれも減少した。完成工事総利益率は、前期の14.2%から14.7%に上昇した大成建設が首位の座を守った。鹿島が13.6%(前期13.4%)、大林組が13.3%(12.9%)とアップしたが、清水建設は建築利益率の悪化で低下し、12.3%(13%)と後退。建築利益率は鹿島の12.7%、土木利益率は清水建設の24.6%が最も高かった。
繰越高は合計で8兆3224億2600万円(6.4%増)。大成建設の2兆3000億円台が筆頭。大林組が2兆円台に乗せた。3社が上積みしたが、清水建設は2期連続のマイナス。
豊富な手持ち工事を持ちながらも、先行きの不透明感から22年3月期連結業績は全社増収減益を予想。連結売上高で大成建設が1兆6400億円、大林組が1兆9100億円、清水建設が1兆5500億円、鹿島が2兆100億円を計画。連結純利益は大成建設32%、大林組28%、清水建設25%、鹿島19%の落ち込みを見込む。
(北海道建設新聞2021年5月18日付2面より)