長引くコロナ 札幌の減少顕著
道内の民泊届け出住宅数が、この1年で減少の一途をたどっている。10日時点の届け出住宅数は、2000戸割れ目前の2039戸で、ピークの2020年4月時点から3割減った。そのほとんどが札幌市内の減少だ。ピーク後の20年5月以降も新たな届け出はあるが、月平均で100件近く事業廃止になっている状況。新型コロナウイルスの影響でインバウンドが激減しているほか、東京オリンピック・パラリンピックでの需要にも暗雲が漂っていて、さらなる廃業加速も危惧される。
空き部屋に有料で旅行者を泊める民泊は、18年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行で本格的にスタート。増加し続けていた旅行者に新たな宿泊先が確保されることで、観光産業の盛り上げに一役買う期待がかかっていた。
道内の届け出住宅数は民泊新法施行以降、順調に増加し、20年4月には札幌市内で2388戸、同市以外で603戸の計2991戸に上った。しかし緊急事態宣言が発出された翌5月には一気に209戸減少。それから13カ月マイナスが続き、その減少幅は全国の11%減を大きく上回る。
21年5月の内訳は札幌市が1441戸、同市以外が598戸。札幌市内は20年4月から947戸減と落ち込みは顕著だが、札幌市以外は5戸減にとどまっている。
こうした減少は、インバウンドを中心とする観光客減少が最大の要因だ。道内における21年2―3月の民泊宿泊日数は7071日で、まだコロナの影響が小さかった前年同期に比べ71.4%減少。宿泊者数は6183人で78.8%減になっている。宿泊者の居住地別では、前年同期は国外に住所を有する者が7割以上いたが、21年2―3月はわずか8%しかいない。
需要低迷に対応するためテレワーク利用や賃貸物件として活用する動きも全国的にあるようだが、本来の収益確保には早期のコロナ収束とインバウンド回復が望まれる。
(北海道建設新聞2021年5月20日付1面より)