インバウンド需要消失受けホテルを用途変更
不動産業のダイニチキャピタル&ホープ(本社・札幌)は、札幌市内に所有・管理するテナントビルを企業のサテライトオフィスとして集客を始めた。当初は宿泊施設として建てたが、コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の消失を受けて方針を転換。集客はワーケーション情報サイトを運営する都内のベンチャー企業に委託する。
貸し出すのは昨秋、札幌市中央区南2条西13丁目319の3にあるテナントビル「HOPEステージ南館」(RC造、5階、延べ395m²)だ。間取りは3タイプ全9室。市営地下鉄東西線西11丁目駅や市電中央区役所前停留所が徒歩圏にある。
佐藤信也社長によると、ホテルとしての需要消失を受けて用途変更した。ビル1棟を貸し出し、料金は月110万円(税込み)程度だ。
各室にキッチンやバス、トイレなどを備え、Wi―Fiを完備。デスクや椅子などの家具は無いため入居者が用意するが、要望に応じて同社がサポートする。スマートロックを採用し、暗証番号で鍵を開閉できる。
また、隣接する同じ規模の「HOPEステージ北館」は、店舗や事務所として1室から貸し出している。料金は月10万―11万5000円ほどだ。
リモートワークが普及するIT業界を主な利用者とみる。合宿所、通常のオフィス、福利厚生のリフレッシュ施設など多様な利用方法を想定している。
南館は2019年設立のスタートアップMOLE(本社・東京)が集客を担い、問い合わせを含めて特設ページで受け付けている。同社はワーケーション情報サイトを運営。道内を含む全国の施設を紹介しているが、サテライトオフィスを扱うのは初めて。ニーズがあればニセコ町や美瑛町などにも展開したい考えだ。
(北海道建設新聞2021年5月20日付3面より)