苫小牧港東港区の周文埠頭をモデルに
北海道開発局は、最先端技術で効率的な物流を実現する高規格ユニットロードターミナル導入の検討に着手する。直轄での導入検討は道内初で、苫小牧港東港区の周文埠頭をモデルに検討を始める。埠頭の一部を拡張整備して、検討に用いるフィールドを確保する計画だ。2021年度は国内、海外の先行事例や技術動向を収集し、埠頭利用者と導入技術に関する協議を重ねる。同港での検討を進め、将来的には道内の他の港湾にも水平展開したい考えだ。
国土交通省港湾局は、国内の経済産業の発展のために果たすべき港湾の役割を取りまとめた「港湾の中長期政策PORT2030」を18年度に公表。主な施策の一つとして、持続可能で新たな価値を創造する国内物流体系の構築を挙げた。
この目標を実現する方策の一つが、次世代高規格ユニットロードターミナルの導入だ。自動離着岸、自動決済、GPSによるシャーシ管理システムなどの新技術を港湾に実装することで、内航フェリー、RORO船の貨物輸送が円滑になる。こうして物流の効率性が向上し、労働力不足などの問題も解決する。
本道では、船舶大型化による海上輸送の能力増加によって、既存のユニットロードターミナルに混雑が生じている。こうした課題を踏まえ開発局は、自動離着岸装置やフェリーターミナルの車両管理といった国内外の先行事例調査を始める。
導入検討の舞台となる周文埠頭にはフェリーターミナルが位置。このすぐ南西側部分で岸壁を拡張し、導入検討に向けたフィールドを確保する計画だ。
本道は広域で、地域から港まで貨物を運ぶ陸上輸送作業が厳しい。高規格ユニットロードターミナル導入が実現することで、港とスイッチセンター間が情報共有し、物流作業が滞りなく進む可能性もあるという。本道の経済発展に絡み各業界からの期待が膨らみそうだ。
(北海道建設新聞2021年5月28日付1面より)