認知度向上、楽しめる場所に
スカイスパイス(本社・札幌)は、国土交通省の管理団体が認定するドローンスクール。設立は2017年5月で、「北海道内卒業生数No.1」をキャッチコピーにドローンパイロットの裾野を広げようと日々活動する。受講者は測量会社・建設コンサルタント、大学生など幅広い。建設業の担い手確保のため、道建設部が実施する道立高校向けのICT体験講習会でも講師を務める。
成田泰士社長は1970年、札幌生まれ。大学卒業後はIT会社に15年ほど勤め、次に働いた雪研スノーイーターズ(本社・札幌)でドローンに初めて触れた。
雪崩調査でドローンを活用することになったが、当時の北海道にはスクールが無く、千葉の講習団体で必要な飛行知識や技術を学びながらパイロットの資格を取る。「本州では時間もお金も掛かる。北海道でドローンスクールを作ろう」。ドローンの将来性に魅力を感じて、独立を決意した。
北海道初のドローンスクールの冠は、タッチの差で日本ドローンアカデミー札幌校に奪われたが、卒業生で1番になろうと考えた。受講希望者が1、2人でも可能な限り開催し、いつも門戸を開けておくことで卒業生を堅実に増やした。
講習場所を札幌市北区のシャトレーゼ・ガトーキングダム・サッポロに構えるのも特長。ホテル内で関係法規や許可申請などを学ぶほか、広い宴会場や屋外練習場を使って操縦訓練ができる。古くからスクールを運営し、ホテルと信頼関係を築いてきた賜(たまもの)だ。
国交省航空局から認定を受けたドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)のRUSEA北海道札幌支部として、2日間の通学コースによるスクールを開講する。
受講料は5万5000円(税込み)で、合計3時間の実技訓練実績を保証。国交省へのドローン飛行申請要件の一つ「10時間以上の飛行経験」を早期に得たい人には、残り7時間分の飛行訓練をクリアするためのオプション講習4万4000円(同)を用意する。
成田社長は、札幌の経専音楽放送芸術専門学校でドローンの歴史や空撮方法を教える講師の顔も持つ。道建設部のICT体験講習会では、工業系高校の生徒にホバリングや着陸の仕方を教え、ドローン操縦の魅力を伝える。確かな腕前から、空撮の依頼を企業や自治体から受けることも多い。
最近は、赤平市内の山中で東京ドーム2個分の広さがある土地を取得した。5年後をめどに、卒業生などを招き、キャンプをしながらドローンを飛ばせる拠点にしたいと考えている。
社名のスカイスパイスは〝空に刺激を―〟の思いから付けた。「2030年を目標に物流の完全無人化が計画され、国による操縦者の技能を証明する制度も創設する。ドローンの認知度が上がるよう活動し、かつ楽しんでもらえる場所を提供することで、スクールの発展を望みたい」と話している。
(北海道建設新聞2021年6月12日付3面より)