時間短縮や省人化、生産力アップ期待
熟練の型枠大工職人の減少や高齢化の課題を解消し、ピンチをチャンスに―。
リフォームや新築住宅、高層建築物の型枠工事などを手掛けるハタダ(本社・滝川)は、コンピューターによる自動型枠加工機を導入した。コンピューターとライン化で型枠の加工作業のほとんどを自動化したシステム。熟練の技術が必要な階段の型枠も製作でき、短時間に広範囲の現場に対応する型枠製作が可能だ。芳賀美津男社長は「時間短縮や省力化、生産力の大幅アップにもつながる」と期待を寄せている。
型枠は従来、型枠大工が図面を基に手作業で製作してきたが、熟練の型枠大工が不足する中、自動型枠加工機の導入に踏み切った。敷地内に廃材を利用した工場(S造、平屋、延べ360m²)を建設。省力機械や産業用機械の新生機械(本社・広島県廿日市)に依頼して機械を導入し、4月から稼働している。既に、滝川市立高等看護学院改築や雨竜町の処理場などの型枠製作に活用している。
自動型枠加工機は、事前にパソコンで入力した図面に合わせて型枠を製作。くぎ打ちや穴開け、裁断など6工程のユニットで構成し、全て自動ライン化しているので、面倒な移動作業も必要ない。裁断は自由に角度を設定できるため、階段や勾配のある土木用の型枠にも対応できるのが特長だ。
以前は8人だった工程を3人でこなすことができる上、製作スピードは2・5倍の速さ。同社の型枠大工で職人歴27年の松井裕之さんも「もう少し慣れてくれば、もっと作業効率が上がるはず」と目を見張る。
芳賀社長は、自動型枠加工機の導入で「未経験者も女性も作業に携わることができ、人材不足の解消や労働環境の改善を図ることができる」と期待を寄せる。さらに「生産量がアップすれば、自社だけでなく、他社の型枠製作にも協力していきたい」と話している。(岩見沢)
(北海道建設新聞2021年6月17日付10面より)