札幌国税局が公表
札幌国税局は1日、道内30税務署の2021年路線価を公表した。標準宅地の平均変動率は前年比プラス1%と6年連続で上昇。新型コロナウイルスの影響で前年よりも上昇率は2.7ポイント低下したが、札幌市を中心とする再開発や住宅需要などが後押しとなりプラスを保っている。全国トップの価格上昇を見せていた倶知安町山田の道道ニセコ高原比羅夫線通は伸び率ゼロだった。
全国平均変動率は前年比マイナス0.5%の下落となった。コロナ禍でインバウンド需要が大きく落ち込んだことや、飲食店の営業自粛要請などがあった影響で不動産取引が停滞。道内は、プラスを保っているが、札幌や倶知安、函館などホテル開発が活況だった地域を中心に上昇幅が大きく縮小した。
道内30税務署の動向を見ると、最高路線価の上昇は札幌北、札幌東、札幌南、札幌西、札幌中、小樽の6署で前年と比べ3署減少。横ばいは倶知安、釧路、富良野、網走、根室、滝川、名寄、紋別、留萌、深川の10署で、1署減っている。
下落は4署多い14署。下落率5%未満が八雲、旭川東、稚内、浦河、岩見沢、苫小牧、旭川中、北見、帯広の9署で、2署増加。5%以上は室蘭、函館、十勝池田、余市、江差での5署で、2署増えている。
最も高い路線価は札幌市中央区北5条西3丁目の道道札幌停線通(札幌ステラプレイス前)で、1m³当たり588万円と10年連続で上昇。伸び率は2.8%で、14.4ポイント低下している。
北海道不動産鑑定士協会の斎藤武也副会長は「リーマンショックでは下落しなかった。新型コロナでホテルや飲食店が大打撃を受けていることが大きい」と説明する。
一方、札幌市北区北7条西4丁目の北口西通は、前年から1m²当たり8.9%上昇の183万円となり、道内で最も高い伸び率を示した。斎藤副会長は札幌駅南口エリアより土地の割安感があることに加え、31年に北海道新幹線が札幌開業するなど、不動産投資を刺激する環境にあると分析する。
札幌市以外は小樽市堺町の本通線通で、3%増の17万円とプラスを維持する。
ホテルやコンドミニアムの開発が相次ぐ倶知安町山田は、20年にプラス50%の価格上昇を見せたが、21年は変動なしの72万円。土地価格が札幌都心部並みに高騰していることや、コロナ禍の影響も相まって先行きが見通せない状況から不動産取引が滞っている。
相続税や贈与税の算定に用いられる路線価は、毎年1月1日を評価時点とする。地価評価額や周辺の売買実績、不動産鑑定士による鑑定評価額などに基づいている。
(北海道建設新聞2021年7月2日付2面より)
北海道建設新聞2021年7月2日付2面には、道内30税務署の最高路線価の所在地・路線名・21、20年の路線価・伸び率などをまとめた表を掲載しています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。