北海製缶小樽工場第3倉庫の保全・活用で中間報告

2021年07月08日 15時00分

観光拠点化や国の登録有形文化財への登録などの方向性

 第3倉庫活用ミーティング(座長・駒木定正北海道職業能力開発大学校特別顧問)は5日、迫俊哉小樽市長らに北海製缶小樽工場第3倉庫[MAP↗]保全・活用への考え方の中間報告をした。市民の日常生活空間にありながら観光客を呼び込める拠点とすることや、国の登録有形文化財への登録といった方向性を提示。活用・保全プランをまとめ、9月に市に提案する予定だ。

中間報告で3点の方向性を示した

 同団体は解体の危機にある第3倉庫を民間の立場から保存・活用策を検討する場として、小樽商工会議所と小樽観光協会が設置した。専門家らによるコア会議では、第3倉庫の活用計画や建築・文化面からの価値、周辺エリアでの位置付けなどについて議論している。

 駒木特別顧問は、①市民の暮らしと結び付いた第3倉庫の活用②国の登録有形文化財への登録③当分の間は小樽市が土地・建物を所有する―の3つの方向性を報告した。

 1924年竣工の第3倉庫は、近代のRC造の中でも埋め立て地に建設された希少な事例であることや、荷物を効率的に運搬する機能が運河側に集約されているなど、大正時代の倉庫としては先進的な設計・構造だと指摘。「RC造の建物の維持は、全国的にも文化財の中でも大きな課題。最新の技術で、どう建物を残すのかといういい事例になると思う」と話した。

 保全・活用プランは、スタート期間(第1フェーズ)と本格活用期間(第2フェーズ)に分けて検討している。第1フェーズは2021年10月―25年度が対象で、一部のスペースのみの活用を想定。必要最低限の改修が求められるが、費用の捻出を課題に挙げた。

 第2フェーズは26年度から本格活用を開始すると仮定し、その先20年間が対象。周辺エリアでの第3倉庫の位置付けを明確化することや、活用方法のまとめが必要だとした。市が土地と建物を所有した場合でも民間との連携が不可欠だとし、PPPなど考えられる手法を整理している。

 劣化調査はパシフィックコンサルタンツが担当。外部・内部ともにひび割れを確認し、外壁のひび割れの多くに漏水痕跡を示すエフロレッセンスが見られた。

 コンクリート圧縮強度試験で採取した3カ所全てが設計基準強度以上。配筋状況調査では、柱の帯筋に腐食グレードⅢが見られるものの、大部分がⅡ以下で健全な状態だった。設計当初の耐力があることを確認した。

 迫市長は財源問題を考慮したいとした上で「現時点で土地と建物の所有を排除する考えはない」と述べ、市が所有する可能性に含みを持たせた。

(北海道建設新聞2021年7月7日付11面より)


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