本間純子 いつもの暮らし便

 アリエルプラン・インテリア設計室の本間純子代表によるコラム。

 本間さんは札幌を拠点に活動するインテリアコーディネーターで、カラーユニバーサルデザインに造詣の深い人物。インテリアの域にとどまらず、建物の外装や街並みなど幅広く取り上げます。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第2木曜日に掲載しています)

本間純子 いつもの暮らし便(10)キッチンとコンパクトなバルコニー

2021年07月09日 11時00分

 分譲マンションの全住戸をコーディネートする仕事は、作業量の違いだけでなく戸建てとは違う気づきがあって、住まいに関わる仕事の奥深さを感じます。施主の暮らしの様子や希望を聞きながら、空間の調整と提案を進めますが、間取りの中に自然な動線が見え、無理なく家具が収まると、暮らしのイメージが現実に近づいてきます。

 マンションは通常一つのフロアに数種類のプランがあり、上下階はほぼ同じ間取りです。その中に好感度満点のプランが誕生することがあります。契約ボード早々に縦に並ぶ赤いバラは「人気プラン」の証です。

 ある大人気プランの即日完売の秘密は、キッチン横の1坪ほどのバルコニーでした。バルコニーは西日が入らない北向きで、扉の開閉スペースを除くと実質0・75坪といった狭さです。各階のどのお客様からも「ここに生ごみが置けるでしょ」とコメントをもらいました。キッチンを預かる者にとって、生ごみ問題は切実です。

 戸建てと違い、マンションの外部への出入り口は玄関のみです。バルコニーは南側が多く、生ごみ置き場には適しません。北側にバルコニーがあっても、寝室を通るのは使い勝手がよろしくありません。キッチン付きのコンパクトなバルコニーは、救世主に感じられたようです。

 生ごみが歓迎されない理由はあの臭いです。食品ロスは避けたくても、使い切る、食べ切るは難しく、生ごみは毎日生まれます。しかも、すぐにごみ集積所には持ち込めません。札幌市の場合、生ごみの収集は週2回なので、3日間もしくは4日間、手元に保管する必要があります。

 気温が高いこの時期は食品が傷みやすく、生ごみも腐敗の進みが早く、強烈な臭いを発生します。ポリ袋に入れて硬く閉じても、臭いは漏れ出ます。それをふた付きのごみ箱で保管しても、ふたが開いた時の臭いがたまりません。「キッチンから1日でも早く持ち出したい」が本音です。

 ディスポーザーがあれば、その都度処理はできますが、私が住む札幌市は推奨していません。たとえディスポーザーで処理できたとしても、プラスチック容器、空き缶、ペットボトルなども、まとまるとそれなりに臭いますし、軽いけれどかさばります。これら資源の回収日は1週間に1回ずつ。北向きのあの1坪バルコニーは資源の保管場所としても活躍しているようです。

 他のマンションでも、キッチン付きのバルコニーの間取りは好評で「漬物だるを置けそう」とニッコリ。長年の夢だったようです。外気温がそのまま活用できて換気もよく、生活動線内にあるバルコニーは、季節によっては天然の冷蔵庫や冷凍庫としても活用できます。

 最近は「三角コーナー不要論」「生ごみ乾燥術」など、キッチンに生ごみを臭わせないテクニックが紹介されてます。この臭いは誰もが持つ共通の悩みのようで、皆さんの知恵を拝借しながら、私も試行中です。

 生ごみ以外にも、日々の暮らしを卒業していくものたちがいます。ごみとして資源として手放すまでの間、どこに置くかをきちんと考えておきたいもの。インテリアの基本は、この辺りにありそうです。

(北海道建設新聞2021年7月8日付3面より)


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