コロナ禍による新しい働き方が広まり、さまざまな仕事がリモート化し、ウェブ化しています。私の本業はもともと、パソコンのディスプレーをにらめっこしていることが多い仕事です。論文の検索、執筆はもちろんパソコンなしにはできません。実験も装置のコントロールや、データの取得、分析をパソコン上で行います。研究発表や講義などのプレゼンテーションもパワーポイントなどを使うのが普通です。パソコンを使わないのは、大学運営の会議や、学会での研究仲間とのディスカッションの時でした。
しかし、コロナ禍のために、会議は全てリモート化し、学会もウェブ化してパソコンのディスプレー上での参加です。もうパソコン、タブレット、スマホなしには何もできません。ずーっと、ディスプレーをにらんでいます。
ディスプレーを見続けるのは目が疲れます。しかし、パソコンでの作業や文章作成などは、自分のペースでできますから、適当にディスプレーから目を外したり、作業自体を中断し、別な資料などに目を通したりして、目を休めることはできます。しかし、ウェブ会議ではそうはいきません。会議中ずっとディスプレーを見ていないと、よそ見をしたと思われ、会議に集中していないと指摘されそうです。
ところが、その画面が必ずしも見やすいわけではありません。会議の参加人数が多くなると、それぞれの画面が小さくなり、おまけに、必ずしも映像の画質が良いわけでもないので、目を凝らして見ていることが多くなります。さらに、背景を使いたがる人も多いのですが、本人の顔と背景の境目がチラチラして、結構見にくく、イライラしてきます。
また、ディスプレーはしょせん、近くを見続けているわけで、老眼には負担が大きくなります。ウェブ会議を1時間もやっていると、老眼の私は目がすっかり疲れてしまい、かすんでくることもあります。まさに眼精疲労です。
会議が終わったら、目を休める必要があります。目を休めるには、できるだけ遠くのものをぼやーっと見つめるのがいいとされます。職場の窓の外に遠くのビルや山々が見えたりするのであれば、好都合です。それをぼやーっと眺めましょう。同時にお茶など飲むのもいいかもしれません。目の疲れをため込むと、肩こり、頭痛などが起きます。お気をつけて。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)
(北海道建設新聞2021年7月9日付3面より)