
池田町でオープンする国内初のワイン樽サウナ
池田町内の観光施設「十勝まきばの家」で、27日に国内で初めて大型ワイン樽を活用したサウナがオープンする。運営会社の大地(本社・帯広)が町のブドウ・ブドウ酒研究所(池田ワイン城)で使われていた3本の樽を改造。ワインの町の新たな観光拠点で誘客拡大を図る。
大地は農業施設専門の建築を手掛け、2006年5月には町営だった十勝まきばの家を借り受けてレストランやコテージなどを営業している。
ワイン樽サウナは清見144の敷地内に、フランス製8000㍑樽を2基、イタリア製7000㍑樽を1基の計3基整備した。いずれもオーク材で、定員は1基当たり3人。樽の香りを生かすため水のみを蒸発させた。直営で施工し5月中旬から約2カ月で完成した。
町は役目を終えた大型ワイン樽を販売。同社はコテージへの改造を視野に4本購入していた。しかし、コロナ禍による宿泊需要の低下などで整備を見送っていた。
樽の活用方法を探る中、海外で酒樽をサウナにした事例を発見。同社は感染拡大の影響で疲弊した人々の心身を癒やせればと、昨年からワイン樽サウナを構想していた。
北海道オリンピア(本社・札幌)の協力を得て、サウナストーンが置けてロウリュが楽しめる小型のガス式FFストーブを確保。樽は断熱性が高く、外部に熱が漏れることがない。サウナの隣には小型樽の水風呂を置く。
26日には、町や報道機関へサウナのデモンストレーションを公開。ドアを開けた瞬間からワインの香りが広がり、体験したスタッフは「体全体でワインを吸収している感覚」と話した。安井美裕町長は「樽はワインの象徴。ワイン造りをする池田町の魅力を伝える資源になってほしい」と期待を寄せた。
町内にはスキー場がなく、冬場は宿泊予約が減少する傾向にある。大地の林秀康会長は「通年でできるサウナがあれば客層が広がるだろう」と展望した。
日帰り入浴の場合、1棟当たり税込み6600円。コテージを利用する宿泊プランのオプションなら80分コースで3850円、120分コースで5500円となっている。
(北海道建設新聞2021年7月27日付1面より)
当記事に関連して、北海道建設新聞2021年7月28日付11面には、サウナ整備の経緯や実現までの技術的課題などを取材した記事を掲載しています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナー、またはe-kensinマップをご覧ください。