深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ロゴスホールディングス 池田雄一社長

2021年07月30日 15時00分

池田雄一社長

道外に着目した成長戦略

 1月に発足したロゴスホールディングス(本社・札幌)は、帯広を本拠とするロゴスホーム、札幌が地盤の豊栄建設という2つの道内住宅メーカーを傘下に置く持ち株会社だ。ロゴスホーム創業者の池田雄一氏(53)が、約3年前から東京の投資ファンドと共同で体制をつくってきた。目指すのは新規株式公開(IPO)と全国展開。3社の社長を兼ねる池田氏は、道内市場にこだわっていては成長できないと明言する。

 

 ―豊栄建設を昨年グループ化し、ロゴスホームと合わせた供給戸数は道内トップクラス。2社は販売で協力しているのか。

 販売面で協力は特になく、現場はむしろライバル関係だ。もともと2社は性格が異なる。豊栄は値頃感を前面に出す「チャレンジ999」などでブランドができていて、経営資源を札幌圏に集中させ、販売管理費を抑えたビジネスをしてきた。ロゴスは広く地方都市に拠点を持ち、一定のコストをかけてこだわった営業をしている。顧客に価値を提供するためにそれぞれのやり方があり、変に仲間意識を育てるのはかえってよくない。

 ―連携する部分は。

 営業地域の面では豊栄は札幌が得意で、ロゴスは地方に強いというシナジーがある。最も効果を感じているのは土地の仕入れだ。住宅メーカーにとって、土地の確保は業績に直結する最重要事項の一つ。例えば造成された宅地を買うとき、2社分の仕入れができるのは大きい。

 ―HDの大株主はエンデバーユナイテッド(本社・東京)が運営する投資ファンドだ。19年の発表時には、「ロゴスが道外企業になった」ともささやかれた。

 かつてはロゴスホーム単独でIPOを目指し、道内主要市はもちろん東北にも進出したが、規模拡大とともに上場に向けた内部体制づくりが難しくなってきた。独力にこだわるより企業上場や金融に精通した人たちと一緒に準備をした方がいいと考え、4年ほど前、仲介者を通じて投資ファンドを紹介してもらった。

 従業員も初めは驚いたが、ファンドは支援先企業を成長させて、上場したところで出口を迎える、いわば期間限定の存在だ。資本構成を除いて、業務も企業理念も変わらないと今は理解してくれている。

 ―春以来「ウッドショック」と呼ばれる木材高騰で、住宅販売はやりづらいのでは。

 確かに木材が値上がりして、家の販売価格も業界全体に上がっている。でも、そのせいで住宅購入をやめる人の話は聞かない。実際、当社HDの成約件数はここ数カ月も順調だ。全国大手メーカーで家造りを考えていた人が、低コストな地場メーカーに目を向けてくれる追い風のパターンも出ている。

 木材価格は国際相場で動き、上がることもあれば下がることもある。米国では年初の水準に戻っている。時間差で日本も落ち着いていくのではないか。

 ―株式公開はいつか。その後の将来像は。

 まだ見込みだが、24年5月期中にIPOを実現したい。その前段階として、来春までに関東の住宅メーカー3社に仲間入りしてもらう計画を進めている。1社は近いうちに発表できるだろう。今後、2030年に全国で5000棟供給、売上高で1000億円を超すグループになるのが目標だ。

 市場が縮小する道内に事業エリアを限るなら、将来の成長は100%ない。道内の家は気密性の高さはもちろん、価格・デザイン・性能のバランスが他地域と比べても優れていて、道外でも多くの人に喜んでもらえる。食分野のように、北海道の住宅を全国に通じるブランドにしたい。

(聞き手・吉村 慎司)

 池田雄一(いけだ・ゆういち)1967年帯広生まれ。個人設計事務所、大手ハウスメーカー勤務を経て2003年にロゴスホーム創業。20年から豊栄建設社長を兼務。21年1月にロゴスホールディングスを設立し、現在3社の社長を務める。

(北海道建設新聞2021年7月29日付2面より)


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