「外で遊ぶ楽しさ」伝える
アスベスト除去など環境対策工事を手掛けるライフニックス(本社・札幌)は、アウトドアリゾートの運営に乗りだす。9月から砂川市内にある旧空知カントリークラブの跡地110haを活用し、キャンプ場を順次整備する計画だ。「日本で最大のキャンプ場にしたい」と意気込む沢村琢磨社長(43)に新事業の構想や展望を聞いた。
―構想のきっかけは。
アウトドアが好きで、子どもの頃は外で一日中遊んだ。一方で自分の子どもたちを見ると、ゲームや勉強で家の中にいることが多く、外で自由に遊ぶ機会が減っている。キャンプへ行くにも人気が高いキャンプ場は予約を取ることさえ難しい。広大で自由に外遊びができる施設を造りたいと考え、5年ほど前から土地を探し始めた。
―なぜ閉鎖したゴルフ場を。
道内各地で閉鎖したゴルフ場が点在しているのを見て〝なぜこの土地を誰も生かさないのか〟と疑問だった。ゴルフ場としての活用は同じ失敗を繰り返すだけ。しかし、キャンプなどのアウトドアは、新型コロナウイルスの感染リスクにつながる3密を避けようとする傾向から、近年需要が高い市場だ。特に、荷物を運ぶ手間が少ないオートサイトキャンプ場は人気が高い。新たな開設には多大なコストがかかるが、ゴルフ場だとコストを抑えた整備ができると考えた。
―旧空知カントリークラブに着目したのは。
アウトドアリゾートとして札幌から近すぎる土地は避けたかった。その点、砂川市は程よく離れていて、道央自動車道が近く交通アクセスも良いことから、条件が一致した。
―今後5年かけて整備する新たな施設の展望について。
目指すのは、年間を通して子どもたちが自由に遊べる施設だ。110haある敷地全体を活用してオートサイトキャンプ場は最大でテント1000張り分の広さを考えている。
広大な敷地を生かして、ドッグランやペットを同伴ができるエリアも造成する。敷地内には小川が流れていて、川辺でのキャンプも可能だ。他にグランピング用の施設も100張り分程度設ける。キャンプ道具のレンタルもし、手ぶらでもアウトドアを楽しめるようにしたい。
敷地と合わせて取得したクラブハウス(S造、地下1地上1階、延べ1674m²)は、受付のほか、シャワー室を改修して入浴施設などにも活用する。敷地内に入浴施設があるというのは、多くの人を呼び込むポイントになると思う。
また、冬にはスノーモービルを使ったアクティビティ、かまくらを利用したカフェなどをイメージしている。日本一大きい雪の滑り台も造りたい。砂川市や地元企業と連携し、スイーツといったまちの特長を生かしたイベントも想定している。新施設での雇用人数は20―30人程度になる予定だ。
―砂川市以外での事業展開は。
今回を皮切りに、北海道新幹線が通る予定の後志地域など道内2、3カ所で同様の事業を展開しようと考えている。いずれも10年以内には実現させたい。
(聞き手・鈴木 穂乃花)
沢村琢磨(さわむら・たくま)1978年1月13日生まれ、札幌市出身。2006年10月にアスベストやダイオキシン処理などを担うライフニックスを設立した。
(北海道建設新聞2021年8月3日付2面より)