利便性高い中心部へ 帯広市西3・9周辺再開発が終盤

2021年08月06日 16時00分

マンション竣工で新たな人の流れ

 JR帯広駅に近い西3・9周辺地区第1種市街地再開発事業の進展で中心部ににぎわいが戻りつつある。高層分譲マンションと帯広経済センタービルの竣工により街の景観は一変。今後は店舗棟と立体駐車場の完成を残すのみとなった。事業終盤を迎え、新たな人の流れやビジネスを生み出す利便性の高い中心部へ変貌している。

西3・9周辺地区市街地再開発の現場では店舗棟の建設が進む

 2020年10月に竣工した分譲マンション棟「ザ・タワー帯広」。高さ59・6mは十勝管内で最高を誇り、市内一体を見渡せるのが売りの一つだ。

 販売を担うフージャースコーポレーションの担当者は「コロナ禍で住宅需要が高まっているせいか、当初の予定より前倒しで完売しそうだ」と手応えを口にする。

高層MS販売好調

 同社によると、6月末時点で住戸147戸のうち約140戸が成約。販売推移は好調で目標の21年度末より早く、秋にも完売する見通しだ。駅に近い利便性と、冬の過ごしやすさから主に40、50代に支持されている。購入者の6割が市内在住者だった。

 同社の担当者は「昼間に人を見掛けることが少なかったが、マンションが竣工してからは新たな人の流れが生まれている」と話す。先に竣工した帯広経済センタービルと相まって周辺の人通りが増している。

 同じ街区では、店舗棟(S造、3階、延べ2600m²)新築が宮坂建設工業の施工で進む。11月竣工が目前となる中、入居希望者との協議も大詰めだ。事業者のアルファコート帯広西3・9地区開発の担当者は、生活の利便性向上につながる店舗誘致を念頭に置いていると説明。「中心街では気軽に食べたり、飲んだりできる場所が少ない」とし、朝と昼も利用できる飲食店や人が集まるような店舗を視野に入れる。

今後の開発に弾み

 帯広駅前周辺では、解体されたビル跡地が更地のままだったり、有料駐車場として活用されたりするなど、不動産開発の動きはまだ鈍い。コロナ禍によりホテルなどの開発計画が滞り、飲食店ビルで次々とテナントが退去する現状がある。

 それだけに再開発事業への期待感は高い。地元不動産業者は「マンションで人が増えたため、商業施設もうまくいけば今後の市街地開発の弾みになる」と注目する。

 最近では、コロナ禍後を見越してJR北海道が帯広駅前のビジネスホテル「JRイン帯広」をサービス付き高齢者向け住宅に業態転換することを決めたほか、第一生命保険が市内に持つビルの一部フロアをホテルやコワーキングスペースに変更するといった動きもある。新たな発想で中心部の定住・滞留人口を創出させる取り組みも広がっている。

(北海道建設新聞2021年8月5日付11面より)


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