大成、清水の営業利益8割超下落 売上高など全て鹿島が首位
大手ゼネコン4社の2022年3月期第1四半期決算が出そろった。全社増収減益と歩調を合わせたが、本業のもうけを示す営業利益は大成建設と清水建設が8割超の下落で、純利益は3分の1程度となった。連結売上高や営業利益、経常利益、純利益全てで鹿島が首位を走る。通期連結業績予想に対する売上高の進捗率は大林組の22.8%を最高に、鹿島22.6%、清水建設20.4%、大成建設17.3%の順だった。
底堅く推移する公共投資やコロナ禍で中断・遅延していた民間工事の回復傾向を追い風に、4社の連結売上高総額は前年同期比3.6%増の1兆4901億500万円に上り、前年同期を512億3100万円上回った。しかし、利益面では連結営業利益総額が47.5%減の470億6400万円、連結純利益総額が41.3%減の414億7600万円と低迷。鉄鋼・鉄製品・木材といった資材価格の上昇、好採算工事の減少、売上高に占める販管費比率の増加、競争激化などが打撃を与え、収益を圧迫した。
単体を見ると、受注高と完工高は大林組、完成工事総利益は鹿島、繰越高は大成建設が最多だった。
受注高は4社合計で9526億8500万円と40.2%増えた。好調な国内受注を背景に大林組と鹿島が柱となる民間建築で伸ばし、大林組は前年同期の2倍に達した。清水建設は国内民間建築が低調だったが、国内民間土木が増加。国内民間建築と民間土木が振るわなかった大成建設が唯一落ち込んだ。
完工高は鹿島のみ減少。完成工事総利益は採算性悪化で全社下げた。
完成工事総利益率は、前年同期の16.3%から10.9%に低下したものの、鹿島がトップで2桁台を維持した。大林組は10.6%から8.3%、大成建設は13.5%から7.3%と共に1桁台に落ちた。清水建設は建築利益率で苦戦が続き、9.2%から5.9%と後退した。鹿島は建築(10.5%)、土木(11.9%)でも利益率が1番だった。
繰越高は合計で8.9%増の8兆1407億8100万円。大成建設の2兆3000億円台が筆頭。大林組が2兆円台に乗せた。清水建設は減った。
「おおむね想定の範囲内」として通期連結業績予想を据え置き、連結売上高で大成建設が1兆6400億円、大林組が1兆9100億円、清水建設が1兆5500億円、鹿島が2兆100億円を計画する。
一方で連結営業利益は大成建設900億円、大林組950億円、清水建設765億円、鹿島1040億円をそれぞれ見込むが、予想に対する進捗率は鹿島25.6%、大林組15.2%、大成建設3.8%、清水建設3.3%と明暗を分けた。工事進行に伴い利益率が改善するかが注目される。
(北海道建設新聞2021年8月11日付2面より)
北海道建設新聞2021年8月11日付2面には、4者の決算の詳細をまとめた表を掲載しています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。