物件コンパクト化など 設備投資に変化
札幌市内で2021年9月以降に着工を予定する分譲マンション(再開発を除く)は、13棟約700戸に上っている。デベロッパーが新築を検討中の土地も4件控えていて、コロナ禍でホテル開発投資などが冷え込む中、道内の大型建築需要を下支えする。一方、土地取得競争の激化に加え、物件のコンパクト化などで投資環境は変化を見せ始めた。
計画が明らかになっている年内着工分は、9棟436戸。全て9月に着工する予定だ。
昨年の長谷工不動産(本社・東京)、一建設(同)に続き、札幌市内初進出となる日本エスコン(同)は東区北24条東17丁目に計画。2人世帯を含むファミリー層をターゲットとする。
相次ぐ本州事業者の参入を受け、ある道内デベロッパーの担当者は「土地取得競争が強まっている」と指摘する。各事業者が狙う土地は地下鉄駅の徒歩圏だ。
一般的な土地探しに加え、地下鉄東西線円山公園駅周辺では、より良い場所で開発するため、老朽分譲マンションの所有権をまとめて建て替える動きも出ている。
物件の仕様も変化。鉄鋼、生コン、土地、人件費などあらゆるコストが上昇していることから「2LDKを設けるなど、戸当たりの面積を小さくしなければ採算が合わない」との声もある。
ある本州デベロッパーの担当者は「東京では1―2LDKを中心としたコンパクトな物件も多く、需要があった」と話すが、「札幌市内では面積の狭い部屋のニーズは弱い」とみる。別のデベロッパーは、物件の矮小(わいしょう)化に合わせ、価格とターゲットの絞り込み、自社の強みをさらに生かす展開を重要視しているという。
事業者の勢力図や物件の仕様など取り巻く環境は変化しつつあり、各社がどう展開するか注目される。
(北海道建設新聞2021年8月12日付2面より)
北海道建設新聞2021年8月12日付2面には、13棟それぞれの事業者、建設地、戸数、規模、工期をまとめた表を掲載しています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。