
鐘ケ江啓吾支店長
海運大手の商船三井は、4月に開設した北海道支店を本格稼働させた。札幌に拠点を置くのは、リーマンショックの影響を受けて閉店した2009年12月以来12年ぶり。鐘ケ江啓吾支店長は「洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーや、道内発の農産物輸送などさまざまな新規事業の可能性を探りたい」と話す。
再生エネルギーでは特に洋上風力発電に注目する。同社は4月、洋上風力発電に特化した事業部を新設。今回の支店開設も洋上風力に注力する動きの一環とみられる。道内は潜在的な風力エネルギーが全国トップクラスの評価を得ている。
洋上風力発電事業で海運企業の担う役割は大きい。建設資機材や作業員の海上輸送、発電設備設置船の運用、立地環境コンサルティングなど多岐にわたる。同社グループには風力発電所のブレード据え付けを得意とする企業もあるという。
鐘ケ江支店長によると、リーマンショックの影響で日本郵船など海運大手3社はそろって札幌の拠点を閉じたという。商船三井は他の2社に先駆けて支店を再設した形だ。二階堂博之支店長代理との2人体制で担う。水素関連事業や海底送電線敷設を含む多方面での事業開拓や知名度向上を図る。
(北海道建設新聞2021年8月19日付3面より)