公共施設整備検討会議で助言
留萌市の公共施設整備検討会議でアドバイザーを務める北大大学院工学研究院の小篠隆生准教授は、12日の第2回会議で、まちづくりに果たす図書機能の重要性を説いた。街中に回遊性を生み出す図書の活用方法や、図書を通じた新たなコミュニティーなどを紹介し、同市の将来像の一つとして助言した。
同会議は、市職員や民間団体、市民ら20人で構成する。市文化センターなど社会教育施設の立地を巡り、JR留萌駅周辺地区への誘導を前提に議論していて、2022年2月にも内容を市に提出し、基本構想に反映させることを目的としている。
この日は、街中のにぎわい再生や新しい公共施設に必要な役割をテーマに、委員らが4班に分かれてワークショップ形式で議論し意見を発表した。
委員からは、自由に訪れることができるフリースペースの設置や、図書館の有効利用など、さまざまな意見が出た。
小篠氏は図書館の活用に共感し「人と人が触れ合うときに脇役として本が効果を生み出す」を提唱。実例として長野県の小布施町などで展開している「まちじゅう図書館」を紹介した。
まちじゅう図書館は、飲食店や商店などに本棚を設け、店主らが所有する図書を置き、訪れた人と図書の魅力について会話するなど、新たなコミュニケーションを生む。小篠氏は「中央図書館などで各施設にどういった本が置いてあるか分かるため、図書をベースとした回遊が生まれる」と説いた。
この他の自治体では、駅の中に本棚があると紹介。自由に持ち出すことが可能だが、返却する際に図書を1冊寄贈する仕組みで「本が間接的なコミュニケーションを生んでいる」と、新たな人の流れを生む方法として紹介した。(留萌)
(北海道建設新聞2021年8月19日付10面より)