地銀は北洋銀+道銀で2600億円以上増 信金は10機関合計で240億円強減少
住宅ローンの貸し出しを巡って、地銀と信金の格差が鮮明になってきた。各機関のディスクロージャー資料を分析したところ、北洋銀行、北海道銀行の2行を合算すると直近2年で貸出残高が合計2600億円以上増加。一方で信金は10機関合計で240億円強の減少となった。住宅は消費増税やコロナ禍の影響から持ち直しつつあるが、資金ニーズの取り込みは地域や経営体力で明暗が分かれている。
開示資料に住宅ローン貸出残高の記載がある19の地銀・信金・信組と北海道労働金庫を対象に、2019年3月末から2年の変化をたどった。全20機関合計の貸出残高は4兆1397億円。最多の北洋銀は1兆8303億円で2年前より1451億円増え、2番手の道銀は1兆2086億円と1176億円上乗せした。労働金庫が6699億円で続き、増加は479億円だった。
信組は2機関で増加、5機関で減少だったが、相対的に金額が小さいこともあり増減幅は狭い。信金は10機関のうち帯広を除いて全て減少。特に旭川は20年の落ち込みが激しく、163億円低下した。
ある地方信金の職員は「家を建てる世代の人口が減り、ローン貸し出しも縮小する一方」と漏らす。信金・信組は営業エリアが決まっていて、住宅着工が比較的堅調な札幌などの都市圏を除き、市場環境改善の見通しが立たないのが現実だ。
体力差を指摘する声もある。業界関係者の一人は「表面的な金利はどこも大差ないが、ローンを組む際に必須の団体信用保険(団信)費用が信金では別途必要になる例もあるなど、トータルで資金力の差が出がち」と話す。今春以降、道内の市部では住宅着工数が前年を上回る月が続く。金融機関の差はさらに開くのか。
(北海道建設新聞22021年8月26日付2面より)
北海道建設新聞2021年8月26日付2面には、道内20金融機関の3年間の住宅ローン貸し出し残高をまとめた表を掲載しています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。