内容深化させSC型国家戦略特区構想を再提出へ 更別村

2021年08月31日 15時00分

大胆な規制改革の提案求め内閣府が選定先送り

今春提出した村の将来像。採択へテーマの具体化を進める

 内閣府は、今夏予定していたスーパーシティ(SC)型国家戦略特別区域の選定を先送りした。道内で唯一応募した更別村は、より具体的な提案をしようと連携事業者との協議や庁内の体制強化に取り組む。9月中にあらためて固めた構想の住民説明を終えた後、10月中旬に再提出。内閣府は年内にも専門調査会を開き、選定区域を決める。

 SCはAIなどの先端技術を活用し、さまざまな地域課題を解決する都市設計の在り方。更別村は4月、「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」をコンセプトに構想を申請した。具体的には自動運転バスによる村内移動手段の確保、ウエアラブルデバイスを活用した高齢者の24時間見守り、ドローンによる軒先配送、スマート農業推進などを盛り込んだ。

 内閣府は今夏に応募のあった31団体から5カ所程度を選定する予定だった。しかし、8月6日の専門調査会で「大胆な規制改革の提案が乏しい」との指摘が上がり、全応募者に再提出を求めた。

 これを受けて、村は提案をより具体的にする必要があると判断。9月1日付で地方創生戦略推進本部と企画政策課内に地方創生戦略推進係を立ち上げ、庁舎横断型の連携体制を強化する。連携事業者となる企業・団体100者には9月までに提案内容を磨き上げるよう伝えた。

 村担当者は、提案で問題視されているのが具体性であると認識。「村の課題性が高いテーマは何か、どういう流れで解決していくのかを整理している。従来のコンセプトを崩さず、内容を深化したい」と作業を急ぐ。

 一方、選定を待つ間にも構想実現に向けた下地づくりを進めている。

 24日には総務省からスマートシティ推進事業の選定を受けた。多様な事業者がドローン経路や3D都市モデルなどを自由に使えるデータ基盤を整備するもので、先進技術を多用するSC構想の実現には重要な土台となる。今後は基盤に載せる情報内容と運用方法を検討していく。

 10月からは農村部のデマンド交通を開始予定。位置情報で運行状況を確認したり、利用状況をデータ化してニーズの高い場所を調べることもできる。

 このほか連携企業の長大(本社・東京)が今秋にも村内に事務所を構える予定。SCの基盤を着々と作り上げながら、採択の時を待っている。

(北海道建設新聞2021年8月30日付1面より)


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