深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ボーネルンド 中西弘子社長

2021年09月09日 10時00分

中西弘子社長

「高齢者の健康」にも着目

 欧州玩具で知られるボーネルンド(本社・東京)は、大型遊具などをそろえる子どもたちの遊び場づくりに力を注ぐ。全国の幼稚園や保育園、商業施設など3万カ所を手掛け、北広島市内にできるボールパーク(BP)への開設も決まった。今後は子ども向けだけでなく、高齢者向けの施設開発も視野に入れる。中西弘子社長に子どもの遊びや高齢者の健康維持を促す施設づくりへの考えを聞いた。

 ―玩具と施設を並行して事業展開する狙いを。

 当社はヨーロッパを中心に海外の100社以上と取引し、教育・知育玩具などを輸入販売してきた。加えて、ボールプールや跳躍器具など大型遊具を備える屋内施設「キドキド」を直営するほか、小さな待合室から大きな公共・商業施設まで、多くの遊具施設プロデュースを担っている。

 20年ほど前、子どもたちの運動不足への危惧が広がる中、取引先から海外の取り組みを聞いたのがきっかけになった。遊具施設で子ども同士が交流し、体力はもちろん相互理解など心を育んでいるという内容。日本にも同じような施設が必要と考えた。

 ―進捗状況は。

 これまでに直営とプロデュースを合わせて全国3万カ所の遊具施設を手掛けた。2002年の北九州市を皮切りに地方自治体との連携も50例以上あって、北海道では17年に道立オホーツク公園で「ころころひろば」を開設したのが最初だ。高さ1・2mの「ボール的あて」など9基の大型遊具を設置した。その後、恵庭市、岩見沢市、沼田町でもプロデュースした。

 ―施設でこだわる点はどこか。

 遊具施設は自社で設計している。子どもの成長には親との関わりが重要だが、子どもといてもスマートフォンに夢中になっている親も多い時代だ。あえて大人がサポートしなければ遊べない高低差のある仕掛けを施し、親子の遊びの機会を生んでいる。

 また、直営施設には遊びをサポートするスタッフ「プレイリーダー」を置いている。あくまで引き出し役として、子どもたちの自由な遊びや親子一緒の時間を創出する。山梨大の中村和彦副学長による検証では、通常の保育環境に比べて当社施設の場合、子どもたちの動作が2倍、歩数が2・5倍に増えるとのデータもある。

 ―今後の展開について。

 子どもの成長を主眼に取り組んできたが、少子高齢化時代を迎え、高齢者が健康を維持できる環境も求められている。ヨーロッパでは、筋力などを保つための高齢者向け遊具の開発が進む。公園などに設置され、高齢者が長く元気に過ごすための有効な装置になっている。子ども向けと一体化した施設もあり、多世代交流にも役立つ。高齢者向けの場を国内にも整備したい。実現に向け、住宅関連事業者などと協議中だ。

 ―北広島市内のBPでは会社として国内最大の遊具施設を整備する。どのような施設にしたいか。

 もともと札幌ドームで北海道日本ハムファイターズの試合日に遊び場を展開してきたが、BPは常設。球場でイベントがなくても楽しめる施設づくりをファイターズと共に進める。

 ソフト面では、ファイターズの選手が大型遊具とともに道内各地を回るなど、全道の子どもたちが喜んでくれるようなさまざまな案を協議している。スポーツの土台は遊びだ。プロ野球選手のセカンドキャリア支援にもつながるかもしれない。こうした取り組みは、参考にしてきたヨーロッパにもない。まだ世界にない取り組みを、北海道から発信したい。

(聞き手・宮崎 嵩大)

 中西弘子社長(なかにし・ひろこ)1945年大阪府生まれ。帝塚山短大(当時)卒。81年ボーネルンド創立メンバーに加わり、94年に社長就任。

(北海道建設新聞2021年9月2日付2面より)


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