住民・行政・施工者一体で迅速に
2018年の北海道胆振東部地震から6日で3年が経過した。液状化で大きな被害を受けた札幌市清田区里塚地区で進められていた里塚中央ぽぷら公園の再整備が完了し、一連の復旧工事が一つの区切りを迎えた。5日には同公園で復旧工事完了の集いを開催。地域住民や市職員、施工者らが出席し、さまざまな思いを胸に3年間を振り返った。にぎわいが戻った地域の将来の姿に期待を込め、それぞれが新たなスタートを切った。
里塚地区は、胆振東部地震で里塚21号線ほか8路線が沈下したのをはじめ、北野里塚旧道線で土砂流出、水道管破損、下水道管機能障害、里塚中央ぽぷら公園内で地盤が下がった。住宅は全壊43棟、大規模半壊20棟、半壊22棟の被害が出た。
市は19年度、約4haを対象に宅地と道路の一体的な復旧を図る対策工に着工し、20年12月に完了。21年度に着手した公園の再整備が終わり、公共による復旧工事は一つの節目を迎えた。
5日の里塚中央地区復旧工事完了を祝う集いで、里塚中央災害復興委員会の盛田久夫会長は「おかげさまで公園整備が完了して今日を迎えることができた。振り返ると多くの人に助けてもらい感謝でいっぱいだ」と述べた。その上で「まだ里塚に戻っていない人がいるのも事実。そのことを忘れることなく、町内会を中心に住みやすいまちにしたい」と力を込めた。
秋元克広市長はビデオメッセージで、「全国的にも例を見ない早さで復興を遂げ、地域のコミュニティーが再建されたことは非常にうれしく思う」と話し、「市としても地震の教訓を忘れることなく、安心して暮らせる強く優しいまちづくりに取り組む」と呼び掛けた。
集いでは、同公園に設置した被害の記憶を次世代に伝える伝承碑を除幕。その後、復旧の中心を担った市建設局市街地復旧推進室、復旧の対策工を担った五洋建設、伊藤組土建、被災当時清田区長として対応に当たった小角武嗣まちづくり政策局長らに住民から感謝状が贈られた。
小角局長は「一連の工事が無事に完了し、うれしいというよりほっとした気持ちだ。3年間は決して地域にとって短い期間ではなかった」と振り返り、「街並みの復旧とともに、新型コロナウイルス感染症が収まった日常生活の中で地域の活気が戻ることを願う」と謝辞を述べた。
被災当初から携わってきた桜井英文市街地復旧推進室長は「住民や行政、施工業者の三位一体で進めることができたのが大きく、このスピード感につながった。里塚モデルとして他の地域につなげられるよう、取り組まないといけない」と述べた。
対策工の現場を総括所長として指揮した五洋建設の鈴木定義さんも会場を訪れ、地域住民らとともに喜びをかみしめた。鈴木さんは「住民の協力が早い施工につながった。感謝しかない」と話した。
集いの開催後、利用を再開した公園には真新しい遊具で遊ぶ子どもたちの楽しげな声が響いた。
(北海道建設新聞2021年9月7日付10面より)