迂回路の道道、町道を国道に編入
国道229号乙部町館浦で6月6日に発生した岩盤崩壊を巡って、北海道開発局は本復旧の方法に現道を復元するルートと、山側または海側に別線ルートを整備する3つの方法で検討していることが分かった。併せて、被災地を避けて迂回路としての使用が長期化する町道、道道を8月20日付で国道229号に編入。函館開建が維持管理や除雪、安全対策を担う方針も示した。地域経済への悪影響をいかに抑えるかが注目される。(関連記事11面に)
8月21日に乙部町内で町民を対象に開かれた意見交換会の資料を公表した。橋本幸局長が説明に当たった。
現道ルートは、岩盤に対して安定勾配切り土や法面の被覆を施し、長期的な風化を防止した上で現道を改良するもの。
別線ルートは、山側では山岳トンネル、海側では海上の桟橋の整備を挙げている。
ルート選定に当たっての方針として、岩盤の安定性の評価や地質調査が必要とみているほか、越波、高潮、津波の影響を考慮した設計が不可欠としている。また、希少動植物や景観など自然環境、土地利用や漁場など地域経済への影響がないかも調べる必要も指摘している。
こうした要素を勘案しながら今後、事業費、事業期間を算出する。実際の施工に際しては地質状況や施工条件を踏まえた施工性も検討し、国道229号乙部町館浦地区斜面対策技術検討会に諮る考えだ。
これに加えて、地域内迂回路として使用している道道乙部厚沢部線と旭岱鳥山線、町道姫川鳥山線(計約17・4㌔)を20日付で国道229号に編入し、今後は函館開建が維持管理することにした。
この路線では、地元から急カーブや冬期間の吹雪による視界不良、急勾配での路面凍結の危険性を危惧する声を受けている。
このため開発局は、ハード面ではデリネーターや防雪柵、注意喚起看板、除雪車との交差のための待避所、町道と道道の巻き込み部の拡幅などを検討。携帯電話の不感地帯の解消のため、携帯電話事業者間の調整も促す。維持管理面では冬季の除雪や路面管理に加え、急勾配部と交差点での凍結防止剤の重点散布に取り組む意向だ。
(北海道建設新聞2021年9月10日付1面より)
北海道建設新聞2021年9月10日付11面には、函館開建が公開した岩盤崩壊の調査結果や崩壊のメカニズムなどを紹介する動画についての記事が掲載されています。。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナーをご覧ください。