制限前に「駆け込み申請」か
リゾート開発が盛んな倶知安町「ひらふ地域」の年間温泉掘削許可件数が、統計の残る1956年度以降で最多となった。2021年度は計11件に上り、これまでで最も多かった19年度の10件を上回った。地域の一部を対象とする許可制限が15日から始まることを受け、「駆け込み申請」が生じた可能性がある。
山田、樺山全域を対象とするひらふ地域での温泉掘削許可件数は、14年度まで年間1、2件程度で推移していたが、宿泊施設の建設計画が相次いできた15年度以降は増加が著しい。動力装置の設置許可も18年度から1件以上が連続している。
掘削の認否は、例年3、4回開く道環境審議会温泉部会で審議する。21年度は、これまでに5月19日と9月3日に開催。ひらふ地域については1回目で2件、2回目で9件を認めた。動力装置は19年度に次ぐ3件となっている。
道食品衛生課によると、1年間で11件の掘削許可は統計的に把握できる中では最多。審議1回当たりの認可件数についても、9件は最も多いという。豊岡大輔環境衛生係長は「断言はできないが、制限前の駆け込み申請となった側面は否定できない」と分析する。
ひらふ地域は源泉水位の低下など資源衰退の兆候が確認され、15日から一部で新規の許可を制限する。ひらふ坂沿いのセンタービレッジ一帯を中心とした約90haは新規掘削を原則認めない保護地域、周辺エリアは250m以上の源泉間距離確保が必要な準保護地域に指定。温泉の採取量は1源泉当たり毎分100㍑以下に抑える。
(北海道建設新聞2021年9月15日付1面より)