タイニーハウスを使った宿泊業が好調 KOYA.lab

2021年09月17日 15時00分

建設業の経営資源生かす

 KOYA.lab(本社・本別、コヤラボ)が手掛ける小さな居住空間のタイニーハウスを使った宿泊業がコロナ禍でも好調だ。建設業者の経営資源を生かした事業として着想。本別町などの絶景スポットに設置し、宿泊環境を整えた。昨年からは移動式のタイニーハウス製造販売を開始。短期滞在や災害時の仮住まいとしても活用できる。十勝東北部の地域活性化に向け、今後は廃業した旅館を使った宿泊施設も計画している。(帯広支社・太田 優駿記者)

デッキからの眺望が自慢と語る岡崎社長

 同社の社長を務めるのは岡崎組(本社・本別)の岡崎慶太常務。本業である公共事業の発注に波がある中、土木業の資機材や社員を生かした取り組みができないかと模索していた。宿泊業にも興味があった中、タイニーハウスを設計するダンホーム(本社・音更)の山本晃弘常務と出会い、2017年に起業。土木のノウハウを生かして雌阿寒岳を望む本別町新明台の町有地を整地した。

 岡崎社長は「どこでもホテルにできるのが最大の武器。観光未開の地に人が集まり出すと、道路など本業のインフラ整備にもつながる」と考える。

 タイニーハウスはS造、延べ18m²でキッチンやトイレ、シャワー室を備える。断熱性に優れているため冬でも快適。ウッドデッキからは広大な自然風景だけでなく、星空や高確率で発生する雲海を楽しめる。

 1日1組限定で最大5人まで宿泊可能。利用者は30―50代の家族連れやグループが多い。コロナ禍前の客層は道内と道外が半々。最近は道内客のみだが、密を避けて楽しめるアウトドアとしてコロナ禍でも過去最高の利益を記録している。

 食事や清掃などのサービスは本別、足寄、陸別町の商工業者と連携して提供。地域経済の発展にも貢献している。

 昨年からは移動式のタイニーハウスを使ったモバイルアパートの販売・レンタルを開始。5m²の洋間2室とトイレなどで構成する。電気は太陽光による自家発電、排水は完全循環型浄水システムのため基礎や電気、下水道工事が不要。現場近くでの短期滞在、外国人実習生や季節労働者の住居に適している。

 災害時には仮設住宅ができるまでの仮住まいとして活用できるため、全道展開も視野に入れている。

 今後は足寄町にある旧高原旅館陵雲荘を年内にも取得予定。建物を改修し、来年度から「仮称・山KOYA」として通年でアウトドアを楽しめる施設を目指す。

 岡崎社長は「十勝は冬の観光が弱いが、日本一寒いアウトドアの聖地にしていきたい。タイニーハウスの稼働台数を増やし、地方創生の起爆剤になれたら」と語る。

(北海道建設新聞2021年9月16日付1面より)


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