コロナ禍をきっかけに住宅業界の販売スタイルが多様化する中、ホーム企画センター(本社・札幌)は、社屋敷地内に家づくりの研究・情報発信拠点とする「HOME LAB(ホームラボ)」を新設した。住宅ブランド「炭の家」を体感できるスペースや仮想現実(VR)ルームのほか、一般客も利用できるカフェなどを設置。地元住民と触れ合う場をつくることで知名度を高め、成約増につなげる考えだ。
10月16日のオープンに向けて準備が進むHOME LABは、W造、2階、延べ500m²の規模。札幌市北区北38条西2丁目にある本社駐車場に建設した。一般的な住宅ショールームと差別化を図るため、さまざまな人が出入りできる体験型の施設がコンセプト。ワークショップやセミナーも企画する。
1階は、専属で雇ったシェフが料理を提供するカフェとし、近隣住民の利用を想定する。商談中の顧客との打ち合わせで昼をまたぐ場合、ランチを無料サービスする予定だ。他にインテリア雑貨の販売コーナーや炭の家の空気を体感できるブースなども備えた。
2階には、IOT対応機器を置くリビングや、建てる住宅をVRで確認できるブースを設置。フロア真ん中にある大型キッチンと周辺スペースは、料理教室やイベントが催せる仕様となっている。
同社は2020年7月にサン建築設計のグループ会社となり、経営改革を進めていて、社屋の全面改装や炭の家のブランドロゴを刷新した。
また、札幌市内で参画する総合住宅展示場2カ所のうち、1カ所を8月に撤退。古川秀彦事業推進部長は、コロナ禍で密を避けたり、来場者の完全予約制が根付いたことで、「大量集客から成約につなげる展示場のビジネスモデルが薄れている」と説明する。
新事業のHOME LABは、住宅展示場に代わる新たな自社ブランドの発信源となる機能を持たせる。
まずは、地元住民との接点を増やし、知名度を高めることが目標だ。古川部長は「これからの住宅は性能や価格だけでなく、会社で選ばれるようになる。ラボをきっかけに、たくさんの人に興味を持ってもらえれば」と期待を寄せる。
(北海道建設新聞2021年9月27日付3面より)