使用数道内屈指 道北の風力発電支える敷鉄板

2021年10月06日 15時00分

資機材も多く投入 従事者の特需に地元関係者が期待

 経済産業省の特定風力集中整備地区に指定され、大規模風力発電の建設工事が進む道北地域。留萌や稚内では高さ150m以上になる出力4MW(メガワット)の風車が多く建てられる計画で、作った電気を使うための送電網の整備も着々と進む。メインとなる風車建設のほか、仮設道路や鉄塔基礎など付帯工事で事業に関わる人は多く、地域への経済効果は大きい。仮設ハウスやバックホーといった資機材も多く投入され、中でも敷鉄板は道内屈指の使用数に上っている。

■留萌港へ所狭しと 運び込みは3カ月

 留萌から40kmほど離れた苫前は〝風車の町〟を掲げ、ユーラスエナジーホールディングスによる国内初の大規模風力発電所「ユーラス苫前ウインドファーム」が建つ。その地域のランドマークも1999年の運転開始から20年余りが経過し、老朽化から4200kW(キロワット)5基に更新する計画だ。2022年4月の運転開始を目指している。

 隣接地には、電源開発の苫前ウィンビラ発電所がある。こちらも20年余りが過ぎ、現在は100%子会社のジェイウインド(本社・東京)が更新工事を進める。現状の風車19基を国内最大級の8基に建て替える計画。総出力は3万600kWと変わらないが、1機当たりの出力は3倍の4300kWとなる。営業運転の開始は22年12月を予定する。

 留萌港には風車のプロペラやタワーになる部品が大型船で運ばれ、建設地で組み立てられるまでストックされている。部品だけでも長さ30m以上あり、広大なヤードには敷鉄板が所狭しと並ぶ。

敷鉄板が所狭しと並べられる留萌市内の風車部品ヤード

 カナモト留萌営業所は、管内の風力発電工事に敷鉄板をレンタル。現場の多くは牧草地のため、トレーラーやクレーンが重さで埋まらないよう、搬入口や仮設道路を補強するために使われている。大型トラック1台に最大7枚の積載が限界で、札幌など他地域から運び込むのに3カ月ほど掛かったという。

 本間純一所長は「留萌管内は公共工事の依存度が高いため、民間の大型プロジェクトは本当にありがたい」と話す。

■カナモトの保有数 稚内で本道1割強

 苫前から135kmほど北上した稚内では、北海道北部風力送電(本社・稚内)が資源エネルギー庁の採択を受け、送電網整備の実証事業を進める。第1次計画として、稚内から中川までの77・8kmに送電線を整備。稚内地区には送電線と発電所をつなぐ電気を入・切するための開閉所、豊富地区には世界最大級の蓄電池システムと電圧を変えるための変電所を設ける。

豊富地区の蓄電池システム建設地でも大量の敷鉄板が使われている

 風車の新設や建て替えも進む。コスモエコパワー(同・東京)は、稚内市内の更喜苫内地区などで仮称・上勇知ウィンドファームを新設する計画。4300kWの風車12基を設置する。ジェイウインドは01年12月に運転開始した「さらきとまないウィンドファーム」を更新予定で、既設風車9基を撤去し、定格出力4300kWの4基に建て替える。営業運転は24年1月の開始予定だ。

 ユーラスエナジーホールディングスは、ユーラス宗谷岬ウインドファームの建て替えを計画する。既存の1000kW57基を撤去し、4000kW17基に更新する予定。100%子会社の道北風力(本社・稚内)は、幌延と稚内で風力発電所3カ所の新設計画を持つ。

 このほかLooopリニューアブルエナジー(本社・東京)は、仮称・北海道道北地区ウィンドファーム豊富を建設。出力4200kWの風力発電機を8基設ける計画だ。

 カナモト稚内営業所は、地域の風力発電工事に向け大量の敷鉄板を18年から用意した。現場の多くは牧草地や山中のため道路が整備されておらず、敷鉄板を順に並べる、いわば〝鉄の道路〟を造るイメージだ。その枚数は北海道地区保有数の1割強に当たる。業界トップクラスの保有数を誇るカナモトでも、一定数をそろえたり、輸送車を手配することは一筋縄ではいかず、経験は大きな自信につながったという。

 曽根英樹所長は「本州メインの大手企業も道北にどんどん来ているため、これを機にカナモトの組織力や対応力の高さを示せればと思う。信頼や信用を構築し、全国の各拠点の営業拡大につなげたい」と話す。

 地域には、鉄塔の基礎を造ったり、運搬車両用の仮設道路を造成するなど、たくさんの工事関係者が入る。生コンや骨材など資材のほか、関係車両、重機の燃料も多く使われ、経済効果はさまざまな職種に及ぶ。宿泊や飲食先はもともと数が少ないため手配が大変で、自前で宿舎を建設したゼネコンもある。

 高齢化で生産年齢人口が年々減るほか、コロナ禍で観光客の入り込みは激減しているため、風力発電の従事者による特需は地元経済を支える。今後5年ほど続くとみられ、地元関係者の期待は大きい。

(北海道建設新聞2021年10月5日付3面より)


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