最多は札幌市 21年内めどに道が結果まとめ
道が7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受けて進めている道内盛り土点検の対象箇所は595カ所に上っている。重点点検対象エリア・箇所が559カ所、各法令等の許可権者が点検の必要ありと考えた盛り土が36カ所という内訳。振興局別では石狩の159カ所、市町村別では札幌市の142カ所が最多となっている。関係部局と市町村が連携して許可・届け出内容や現地の状況を確認した上で、年内をめどに点検結果を取りまとめて国に報告する予定だ。
熱海市での土石流災害を重く見た鈴木直道知事が庁内関係部局に同様の危険箇所がないか調査するよう指示。8月には国から盛り土による災害防止に向けた総点検の依頼があり、土石流のほか地滑りや山腹崩壊の恐れがある区域なども対象とすることが示されたため、それらを含めた点検作業に取り組んでいる。
対象箇所は、許可・届け出資料等から確認した盛り土、盛り土可能性箇所データ(国土地理院提供)等から推定される盛り土、その他点検が必要と考える盛り土の中から抽出。現地を訪れることを基本とし、①許可・届け出等の必要な手続きが行われているか(書面確認)②面積や土量など手続き内容と現地の状況が一致しているか③水抜きの有無など災害防止の必要な措置が取られているか④廃棄物の有無など禁止事項に関する確認―という4つの観点で目視などにより点検する。
重点点検対象エリア・箇所は、土砂災害警戒区域382カ所、山地災害危険地区225カ所、大規模盛り土造成地70カ所で構成。各法令や条例ごとの点検箇所数は、宅地造成等規制法180カ所、都市計画法116カ所、砂防法など砂防3法4カ所、森林法150カ所、自然公園法7カ所、北海道立自然公園条例4カ所、北海道自然環境等保全条例(特定開発行為)39カ所、国土地理院の標高データなどから抽出した盛り土の可能性がある箇所が155カ所となっている。重複する箇所があるため、これらを足したものと全体の合計は一致しない。
振興局別点検箇所は、石狩が159カ所、空知が37カ所、後志が55カ所、渡島が22カ所、桧山が17カ所、胆振が92カ所、日高が13カ所、上川が49カ所、留萌が11カ所、宗谷が10カ所、オホーツクが95カ所、十勝が12カ所、釧路が17カ所、根室が6カ所。市町村別に見ると、札幌市の142カ所が最も多く、網走市の64カ所、室蘭市の34カ所、小樽市の16カ所、倶知安町と函館市の13カ所が後に続いている。
今後は、年内をめどに点検結果をまとめるが、災害の危険性を有する盛り土が判明した場合には速やかに行為者に対して各法令に従った是正を求めるなど、必要な対応を講じる。
(北海道建設新聞2021年10月8日付1面より)