ラウンドにグランピングや車中泊セット
道内のゴルフ場でプレーとアウトドア宿泊を組み合わせた新たな楽しみ方に注目が高まっている。コロナ禍で屋内レジャー施設の利用者が減る中、野外で人と人との距離を取ることができるゴルフやキャンプは好評だ。今夏、競技層を拡大しようとゴルフ場3施設がラウンドにグランピングや車中泊などをセットにしたプランを打ち出した。国内需要をはじめコロナ収束後のインバウンド獲得に向けて期待が膨らんでいる。

コースの端でキャンピングカーやテントに宿泊する
アルペンが運営する「ゴルフ5カントリー美唄コース」は9月28日、キャンピングカーレンタル業の北海道ノマドレンタカー(本社・札幌)と共に「ゴルフ×キャンプ モニターツアー」を実施。旅行会社などの関係者10人がゴルフや食事を堪能した後、コース内に止めたキャンピングカーとテントに宿泊した。
夕食は地元食材のフルコース、夜はたき火を用意するなど終日楽しめるようこだわった。北海道ノマドレンタカーの阿部晋也社長は「整備された自然がキャンプに適している。夜は利用のないゴルフ場の有効活用にもつながる」と話す。
車中泊プランは来春の商品化を予定。宿泊希望のゴルファーに対してキャンピングカーや必要なアウトドアグッズを手配する仕組みを整える。空港に近い千歳市内の車両拠点から手ぶらでキャンプとゴルフができることを強みに、客層拡大へとつなげたい考えだ。
場内に宿泊施設を常設する例もある。室蘭ゴルフ倶楽部は6月、コースの近くに「室蘭グランピング」を開設した。メインドームとセカンドドームから成るテント型グランピング施設を2組設置。グループ企業が運営する宿泊施設のノウハウを活用してラウンドなしのプランも用意し、来場者の裾野を広げる狙いだ。
広さは1組当たり約160m²。シモンズ製のベッドを置くなど清潔感と高級感のある室内にこだわった。1日2組、最大8人の宿泊が可能。1ラウンド付きの料金は1人当たり2万9860円(税込み)から。メインシーズンの7―8月は8割が予約で埋まり、リピーターも多いという。
家族連れや団体客に向けて比較的安価な宿泊プランを提案したのは御前水ゴルフ倶楽部(苫小牧市)内にある「御前水グランピングパーク」だ。夏季限定で3種類のテントを用意し、1人当たり2200円(税込み)から宿泊できるのが特長。6月の開業後、休日は満室が続いた。
情報誌「北海道ゴルフマガジン」を手掛けるA―ONE(本社・札幌)の「北海道ゴルフリポート」によると、7月の道内ゴルフ場入場者数は前年同月比14%増加の45万人。コロナ禍以前の水準に近づいている。
観光を融合したゴルフツーリズムに詳しい北大観光学高等研究センターの遠藤正客員教授は「これからは若年層を開拓しながらインバウンドを取り込む必要がある。グランピングなどの差別化は有効だ」と分析。道内には約140のゴルフ場がある。宿泊施設を併設したゴルフリゾートは欧米などで人気が高いことから、アフターコロナに向けた各施設の動きが注目される。
(北海道建設新聞2021年10月12日付3面より)