躯体仮設のクレアル工業
躯体仮設工事会社のクレアル工業(本社・札幌)は、札幌市東区にタイニーハウス(小さな家)の展示場をオープンした。本業の土木、建築に次ぐ新事業として展開。1棟当たり8m²ほどの面積で、少人数の宿泊や店舗空間として活用を見込む。サウナや和室、テレワーク向けを用意し、コロナ禍の人数を限定したコミュニケーション需要を取り込む狙いもある。広大なヤードを抱える建設業や運輸業などの土地活用策の一環として使ってもらいたい考えだ。

客室やサウナ、ウッドデッキ付きなどモデル10製品を展示する
タイニーハウスパークの名称で1日にオープンした。住所は札幌市東区東雁来11条2丁目2の1。モデル10製品を展示し、145万円から250万円(税込み、運搬工事費別)までの価格帯を設定する。
1棟当たり4畳半から5畳ほどの広さで、高さはおおむね2700㍉に統一した。トレーラーにそのまま載せられるサイズで、工場製作のため現地での作業はクレーンによる据え付けのみ。設置後まもなく使うことができ、短期間のイベント向けにも活用できるとみている。
10種類のモデル製品のうち、hostel(ホステル)はゲストハウスやユースホステルなどの客室がコンセプト。床はタイルカーペットで2段ベッドを置くことができる。tenpo(テンポ)は狭小地に対応したテークアウト向け簡易店舗で、保健所審査を想定した作り。手前にはカウンターが付き、奥行きがあるため冷蔵庫やドリンクディスペンサーを置くことができる。飲食店のスタートアップ企業にもってこいの空間だ。
上位モデルでは、畳張りと障子が特徴のwaso(ワソウ)を用意する。茶道や華道の離れとして利用してもらい、ニーズによっては縁側を設けることができる。最上位はウッドデッキのテラスを備えたsky.T(スカイ・ティ)で、頑丈な鋼製の階段で屋根部分まで上り、大空のもとバーベキューやガーデニングを楽しむことができる。
新たにハウス事業部を発足し、営業4人と製造2人の合計6人で業務に当たる。1月から準備し、費用の一部を経済産業省の事業再構築補助金で賄うなどして10月の開業にこぎ着けた。

「タイニーハウスを周知したい」と柳下社長
中小企業庁は、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、企業の思い切った事業再構築を支援している。最近はドライブスルーや移動店舗による飲食物のテークアウトが活況。建設会社向けには広大なヤードを生かし、宿泊施設やキャンプ場に再整備するといった動きが注目され始めている。
柳下真人社長は「まずはクレアル工業が作るタイニーハウスを周知したい」と話している。
(北海道建設新聞2021年10月13日付3面より)