エムシーワールドが木製浴槽再生工法を提案

2021年10月15日 17時00分

宿泊施設の高付加価値へ

 エムシーワールド(本社・恵庭)は、温泉や宿泊施設で使われるひのき風呂など木製の浴槽や建具に、エアー鉋(かんな)と液体ガラスを使った再生工法を提案する。エアー鉋はグラインダーなどを使った下地処理よりも作業が早く、液体ガラスは塗ることで強度アップや変色防止といった効果が期待できる。高付加価値化を目指す宿泊施設のリニューアル工事などに使ってもらいたい考えだ。

液体ガラスなどを使って再生した「東前温泉しんわの湯」のひのき浴槽

 エアー鉋は、空気と木質チップを混合して対象物に噴射することで、汚れや腐朽菌、劣化層などを取り除く工法。木材のほか、金属や樹脂にも対応する。グランドライン(本社・滋賀県草津市)が開発した工法で、エムシーワールドは施工代理店として扱う。

空気と木質チップを混合して汚れなどを取り除くエアー鉋

 液体ガラスは、微粒子化したケイ酸塩の組成液に改質を重ねた無機質系の処理剤で、木材に使うと防炎や防腐、変色防止などの効果が期待できる。ニッコー(本社・東京)が開発した技術で、本州は寺院や図書館、文教施設、駅舎などで使われた。エムシーワールドは特約代理店の1社として、道内の保育園や店舗などで施工実績を持つ。

 最近は、北斗市内にある「東前温泉しんわの湯」のひのき浴槽を改修した。男用と女用の2槽を17日間で作業し、エアー鉋やサンダーなどで表層をきれいにした後、液体ガラス2回、コーティング4回を重ね塗りした。

 しんわの湯は、ひのき風呂を製作する地域の大工が廃業したため、浴槽のリニューアルに困っていた。新品は1槽当たり500万―600万円と高額。こうした中、エムシーワールドの木材再生を知り、施工してもらうことにした。浴槽のほか、木製の建具や手すり部分を手掛けた。

 新型コロナウイルスからの世界的な経済回復で、資材の供給や価格が不安定にある中、木材の再生事業にもニーズの高まりが期待されている。これからのウィズコロナ時代、宿泊施設の高付加価値化はテーマの1つになるとみられる。

 エムシーワールドの再生工法は、宿泊施設の浴槽だけでなく、地元産の木を使った風呂おけや椅子でも施工可能。木製の扉や障子など建具を再生することもできる。

 棟方忠志社長は「木材をきれいに再生し、長く持たすことができるのがエアー鉋と液体ガラスによる再生工法のメリット。将来的には神社や仏閣、歴史的建造物を手掛けたい」と話している。

(北海道建設新聞2021年10月14日付3面より)


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