日高地域森林資源持続化推進協、浦河でタワーヤーダ実演
日高地域森林資源持続化推進協議会(代表・小野哲弘ひだか南森林組合長)は14日、浦河町有林内でタワーヤーダによる集材作業のデモンストレーションをした。山の斜面に沿って引いたロープを伝い、集材機が木材をけん引する架線集材用の機械。傾斜の険しい地形での運用に適し、作業量や労働者数の軽減などが見込めるという。関係者によると現在、道内で架線集材はされていない。
タワーヤーダは本州では導入が進んでいる。特に山地と海岸線の間の急傾斜地に樹木が生える四国などで利用されている。
使用している川井木材(本社・高知)の川井博貴社長は「クローラがあり自走できるので、機動力が高い。1列終わったらロープを張り替え次の列での作業に移れるので効率が良い」と話す。
ひだか南森林組合の盛孝雄専務理事は「伐採した木材の搬出に、今はフォワーダを使っている。伐採から搬出まで、運搬路の確保や玉切りに使うハーベスターなど5台ほどの機械と人員が必要だ」と言う。
タワーヤーダの販売を仲介するサナース(本社・横浜)の副島龍太さんは「必要なのは木材を集材機に荷掛けする人とリモコンを操作する人だけ」と話す。リモコンの操作はハーベスターのオペレーターが兼務できるため、最低2人で運用可能。細やかな作業網開設の必要も無い。
架線集材が本道の現場でも導入されれば、運搬用車両から出るCO₂の排出削減や、労働者の高齢化といった課題解決につながる。

タワーヤーダがハーベスターのもとに次々と木材を運ぶ
実用性を見極めるため、比較的急傾斜地が多い日高で検証。架線集材のノウハウを学ぼうと、日高振興局や日高南部森林管理署、道立総合研究機構、森林管理局などから約150人が集まった。
現場は平均傾斜32度の傾斜地。斜面に85mのロープを通し、下部から上部へ木材を運んだ。集材機は最速秒間6mほどで進む。
盛専務理事は「予想以上のスピード。運ばれた木材を玉切りするハーベスターでの処理が間に合わないくらい」と感心していた。川井社長によると、実際の作業では400mほどの距離を運ぶことが多く、最大で45度の傾斜地でも作業が可能だ。
デモンストレーションの結果を踏まえ、ひだか南森林組合は導入を視野に入れる。作業の負担軽減による入職促進、雇用の長期化につながると期待を寄せる。
(北海道建設新聞2021年10月18日付9面より)