道内のネット通販利用者増続く 石狩湾新港の先進性にも注目
ヨドバシカメラが石狩市内に大型物流拠点を設ける背景には、道内のネット通販利用者が増え続けている状況がある。総務省の家計調査によれば、2020年に本道でネット通販で買い物をした世帯は38.1%で、15年の17.9%から5年で大きく伸びた。利用者の20年の支出額は2万9582円で5年前から4割近く増えた。
ネット通販は大都市部の消費形態と見られてきた。札幌を含む人口100万人以上の都市合計では55.7%と、もはや利用者の方が多数派だ。加えて小規模な街の住民も利用し始めている。全国の町村と人口5万人未満の市での利用率は15年だと18.4%だったが、20年には33.1%に上がった。
家電製品は、ネット通販と相性が良い一面を持つ。家電は多くの消費者にとって、食品などに比べて購買頻度が低いため、家電量販が店を出そうとすれば商圏人口の多い立地を探さなければ採算が合わない。このため道内では、広域から自動車で客が集まるショッピングセンターなどの立地が多い。
だが高齢化が進めば、遠出をしにくい買い手が増え、店の売り上げが落ちることもあり得る。特に本道は本州と比べても広大な面積に住民が散在していて、通販に寄せられる期待はより強いといえるだろう。同じく食品のような購買頻度が見込めない家具・雑貨を扱うニトリは、先んじてネット通販に対応する大型物流センターを開設中だ。
石狩市という立地もポイントになる。物流施設が大型化する中、広い敷地面積が必要となるが、札幌市内では難しいのが現状。その点、石狩湾新港地域なら札幌都心への交通利便の良さに加え、大区画の分譲地が残っている。加えて、石狩市は工業団地の一部で、入居企業が使う電力を再生可能エネルギーで賄う全国初の取り組みを検討するなど先進性もある。
最近ではコストコ石狩倉庫店ができたことで、ショッピングエリアとしての芽もあるようだ。用途地域の変更が必要になるが、コストコ周辺の広大な空き地に興味を示す企業も出ている。ニトリが建設中の物流施設も、計画当初は店舗併設の案が出ていたという。ヨドバシについても都心店舗に続く新たな店ができてもおかしくない。
(北海道建設新聞2021年10月26日付2面より)
ヨドバシカメラが新築を検討している石狩市内の大型物流拠点についての詳細は、北海道建設新聞2021年10月26日付1面に掲載しています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナー、またはe-kensinマップをご覧ください。