道建設部は、ペーパン川で構想している治水ダム建設について、2022年度からの実施計画調査着手を目指している。治水安全度のさらなる向上を図るため、洪水調節施設を設ける。5カ年程度で調査を進め、最も有力な案としている治水ダムが妥当であるかを判断する。総事業費は270億円を見込み、うち調査事業費は15億円、治水ダムの本工事費は183億円を試算。妥当性が確認された場合はあらためて大規模公共事業事前評価を受け、建設段階に進む見通しだ。
旭川市内を流れるペーパン川は牛朱別川に合流する1級河川。1971年から河川改修を進めているが、16年8月、18年7月の豪雨で家屋や農地が浸水する被害が発生するなど、治水安全度をさらに高める必要があることから、洪水調節施設の整備を構想した。
治水ダム建設、既設利水ダム有効活用、遊水地、河道掘削、引き堤、堤防かさ上げの6つの方策をコスト、実現性、地域社会や環境への影響といった多角的な評価で総合的に比較した結果、治水ダムが最も優位な案となった。現段階では堤高42・6m、総貯水容量400万m³の重力式コンクリートダムを想定。建設位置は、現在実施中の河川改修箇所と、その上流部にあり直轄農業ダムのペーパンダム(旭川市東旭川町瑞穂)の間で考えている。
総事業費の内訳は、堤体や管理設備などの本体工事費が183億円、地形調査や地質調査などの測量設計費が54億円(うち実施計画調査は15億円)、水没用地などの用地補償費が10億円、道道1路線、市道1路線の付け替え道路約3㌔の補償工事費が17億円、その他事務費が6億円。
実施計画調査については、2日の公共事業評価専門委員会で大規模公共事業事前評価地区として審議し、国費予算要望の妥当性が認められた。
(北海道建設新聞2021年11月4日付4面より)